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平成17年度学位記・修了証書授与式における学長式辞

Last Update : 2008-06-20 18:51

2005年9月22日 乗船実習科、大学院 修了式にあたって

 乗船実習科修了生、大学院修士、博士課程修了生、そして論文博士となられた総ての皆さん、本日はおめでとうございます。それぞれのコースにおいて修了に至までの取り組みの姿勢は異なっていますが、通常の課程以上に専門分野に取り組んできた意気込みをこれからも大切にして下さい。

 乗船実習科の皆さんは本年4月に乗船実習科に進学し、航海訓練所の日本丸、あるいは青雲丸に乗り組み、船舶職員となるための最後の仕上げである長期乗船実習を終えてこられました。この訓練で、皆さんは船乗りとして今後もやっていけるという自信が付いたでしょうか?「いやまだまだです」、そうですか、それで良いのではないでしょうか。船に乗ってやっていこうと考え努力すると同時に、現在の日本人船員の処遇を真剣に考えるならば、今後は極めて厳しく努力すること無しには、この分野では大成できないことを直視するべきでしょう。
 船乗りとして、やっていくとするか、キャリヤパスとしての船乗りを考えるのか、いずれにしても次のステップに挑戦することをきっちりと見据えて努力しなければならないのです。そのためには不断の学習と勉学が絶対に欠かせないのです。航海士であろうと、機関士であろうと、次のステップに進むためには、今日から準備を開始し、自分を磨いていかなければ皆さんが希望する進路へと最終的に到達できないでしょう。やはり、今日はcommencement day なのです。さあ、次の場面に向け舞台は変わります、気持も切り替えてください。

 大学院修士課程、博士課程の皆さん、おめでとうございます。修士課程の皆さんは、高度専門技術者、あるいは自立した研究者への入り口としての訓練を受けたでしょうか。まだまだですか。 未知の現象の解明とまで行かないまでも、現象や事象をモデル化して考えることにより、単純化でき、定式を作り、定量的に状況が把握できると言う醍醐味を味わえたかもしれませんね。
 社会に出ることが決まっている人も、まだまだ続けて研究に邁進しようと考えている人も、謙虚に先輩諸氏の意見を聞き、それに対して自分なりの意見を持ちつつ新しい生活を始めて下さい。一人で考えられることは限られています。大勢の力を総合して初めて揺るぎない、誤りの少ない考え方を導くことが出来るのです。
 博士となった皆さん、君たちは少なくとも自立した研究者として処遇され、それに応えられる識見を持つ人としての扱いを受けるはずです。大学院博士課程の 3年間に蓄えられる知識と経験、技術の量はそれほど多いと私は思いません。博士の皆さんを送り出すときに常に送る言葉は、博士は考える術をこの間に蓄え、様々な問題をどのようにして解決すべきなのかを順序だって考えられ、それを言葉として正確に述べ、記述できる力を持った者である、と言っております。専門分野に於いては指導教官は乗り越えられる存在であり、指導教官に対しては、或る場合にはアンチテーゼを示しつつ、何が現象の真理を示しているのかを議論し考究して来たと思います。
 ここにおられる多くの留学生の皆さんは、国に帰られ、指導的な立場に立つ機会に恵まれると思います。そのときにこそ、東京海洋大学で何を学びトレーニングしたのかを思い返し、そのエッセンスを絞り出し、皆さんの国の学生に伝えていただきたいと思います。只単に漫然と、日本で勉強してきたのではない、科学的に考えるとはどう言うことか、様々な文化との交流から得られる考え方のバラエティについて伝えていただきたいと思います。
 皆さんの輝かしい人生の幕が今上がろうとしています。精魂込めてその役割を果たして下さい。博士の学位を得られた皆さんは研究室で鍛えられたことを夢々忘れないで下さい。先輩に助けられ、先生に支えられてきたことを銘記して下さい。次は機会を見つけ後輩達に貴方のその心意気を様々な機会に伝えていく役割を担っていただきたいと思います。それが母校を元気づける力となるでしょう。よろしくお願いいたします。
 さて、総ての修了生の皆さん、話がだいぶ長くなってしまいました。最後にお願いをしておきましょう。君たちの社会のなかでの役割は今まさに始まろうとしています。身震いするような切ない思いと、さあやってやるぞ、との気概もみなぎってきたのではありませんか。いま始まったばかりの君たちの新しい人生において、私は、君たちが常にしなやかな考えをもち、柔軟に物事に対処し、隣人を尊敬し、各自の人権を尊重するすると共に暴力では無しに、言葉によって問題を解決することを信条にして頂きたいと願っています。
健康に留意され、様々な領域と場面で活躍されることを期待いたします。
ボンボヤージュ

平成17年9月22日
東京海洋大学長 高井陸雄


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