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平成17年度入学式における学長式辞

Last Update : 2008-06-20 18:51
 入学者の皆さん、大学院、乗船実習科、水産専攻科へ進学された皆さんおめでとうございます。また、本日はお忙しい中、入学式にご出席いただきましたご父兄並びにご来賓の皆様誠に有り難うございます。心より御礼申し上げます。
 授業料値上げで喜びも半分くらいかもしれません。我々としては苦渋の選択でした。お詫びすると共に、教育の質でお返ししたいと思っています。お許しください。

 一年生の皆さんの多くが、これからの大学生活にどんな新しい事が始まるのかわくわくしておられることと思います。
 地球表面の70%を占める海洋は、我々の命のふるさとであり、地球環境の調節機能、食資源生産の場、文化の交流の場、物資輸送の場、癒しの場としての役割を果たしています。私たちが良く知っていると思っている海にはまだまだ未知のことがあり、科学技術の進歩した今また、多くの新しい発見が報告されています。深海のしかも高熱水が噴出しているすぐ側に生物が生息し繁殖しています。2000年掛かって世界を循環する深層海流の作用や、黒潮蛇行の起源にも多くの未知の部分があるのです。挑戦するのは皆さんです。
 東京海洋大学校歌の一節「海を拓き海から学ぶ」にあるように、海に関連する様々な分野に挑戦する海洋国日本の唯一の海洋系大学として皆さんを育てる覚悟です。もちろん海事・水産関連分野で活躍する人材のみならず、流通情報、食品、産業機械、マリンスポーツ等派生する多くの産業分野にとって有為な人材を育てる事を目標としております。さあ、視野を広げ勉強に取りかかってください。
 大学は自ら学問するところ、勉強するところです。生徒から学生に皆さんは変わったのです。自覚してください。毎日講義に出席し内容を理解することです。徐々に力が付いて来ます。勉強には限りがありません。授業は最低限であり、自力で勉強できる準備をしているのです。興味と関心があればより深く学べます。知る程にさらに奥が見たくなるものです。このわくわくする未知への扉の鍵を握るのは君たち自身です。一度しかない人生です、ここと決めて努力する事が重要です。実験、実習を重視してください、それは本学の特徴でもあります。実験・実習は系統的に組み立てられており、どのようなことが起きるのかを自分の目で見て確かめることほど素敵なことはありません。是非、レポートにまとめて下さい。読書に励んで下さい。本には著者の努力と考えが凝縮されています。様々なことを効率良く知る方法です。名作と言われる長編小説を読んでください。英語で挑戦するのもこのときです、達成感が生まれます。
 アルバイトを絶対するなとは申しませんが、アルバイトを社会勉強と取り違えないでください。仕事をしてお金を稼ぐことがどんなに大変なことなのかを知るチャンスではありますが、勉学の時間を大事にしてください。
大学生活で多くの人との繋がりを築く事は勉強と同じように大切かもしれません。クラブ活動、実験・実習は多くの人との協同作業で成り立ちます。この過程で自分自身のことをじっくりと見直し、コミュニケーションのありかたも学ぶことが出来るでしょう。生涯の友達を見つけることが出来るはずです。

 水産専攻科、乗船実習科へ進学した皆さん、これからが船舶職員養成としての最後の仕上げの時です。座学での内容を体に覚えさせ、シーマンシップのなんたるかを船上で体得していただきたいと思います。穏やかな心でいるためにも、本を読む習慣が必要です。
 研究科に進学あるいは入学した皆さんいかがお過ごしでしょう。学会に出席したり、次のプロジェクトの準備をしたり大変忙しい春休みだったかもしれませんね。この論文を読むぞ、この実験をするぞ、と気力は充実してきましたか。
 修士課程に進学・入学された方にとっては、本当に休む暇はありませんね。どうしてそんなに早く就職活動が始まるのか、しかし、現実は現実です。社会に出てから使える質の高い知識と技術を習得する必要があります。それにはたゆまぬ努力が必要です。研究の進め方についても一定の法則があることを理解した上で、新しい方法を編み出してください。修士課程はあっという間の出来事です。目標を設定し、研究と実験に邁進してください。学部では味わえなかった発見がある筈です。そのおもしろさを見つけたら、博士課程に行くことです。
 博士課程の諸君は、真理を求め、基本原理を打ち立てる中から、自ら研究することの喜びを見いだしてください。研究に対する見方が一方的にならないためにも、かたくなな視野の狭い“博士”にならないためにも、国内外の学会での発表と出席は必須事項です。英語での発表や意見交換をノルマにしてください。博士課程の皆さんには、研究室で研究の中核としての役割を期待しています。メリハリのきいた先輩がいればこそ研究室はピリッと締まるでしょう。研究室セミナーの中心を担って運営していく事はこれからの研究者生活に必要です。

 最後になりましたが、私たちの海がこれからも末永く世界中の人々が安心して利用できるためには、多様な生物との共生を人類が維持すると共に、文化、宗教、人種、性別、考え方の異なる人々を尊敬し、謙虚に話し合いお互いに理解することが必要です。そのためには皆さんがグローバルな視点に立って勉強し、研究をすすめることなのです。よろしくお願い致します。
 全ての入学者と進学者の皆さん、志を高く持ち皆さんの目的に向かって全力投球してください。がんばれるのは今なのです。「現在(いま)はすぐに過去です」。皆さんの4年後、2年後、3年後を楽しみにしています。健康に留意され、お励みください。

平成17年4月7日    
東京海洋大学長 高井陸雄


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