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平成18年度東京海洋大学乗船実習科修了証書授与式における学長式辞

Last Update : 2008-06-20 18:51
 乗船実習科を修了される皆さんおめでとうございます。もちろんこれにより三級海技士免状を手にしたわけではありませんが、そこに向け、着実な一歩を踏み出したことになるのでしょう。

 学部四年間での六ヶ月と、乗船実習科での六ヶ月の乗船訓練による計1年間の乗船実習は皆さんに、座学と実習との繰り返しが経験を科学に裏打ちされたものとする大切なプロセスであることを教えてくれたことと思います。

 航海科の実習は日本丸による六月二十日から九月十日までの東京・バンクーバ・ヒロ・ホノルル・東京の航海で、機関科の実習は青雲丸による八月四日から九月十日までの東京・ブリスベーン・東京の航海で、それぞれの実習航海を恙なく終えることができました。試験結果も満足すべきものであったと思います。

 機関科の実習は油の高騰もあって、これまでの長期航海に比べもの足り無かったかもしれません。しかし、それだけにエッセンスの詰まった実習だったと思います。海事英語を行き交う船との間で交わしたとの報告も受けています。 航海科の実習においてはバンクーバでのカナダの人たち、日本人学校での子どもたち、あるいは在留邦人との交流を通じ、皆さんが国際人として果たす役割、あるいは外航船職員が国際人として担うべき役割の一端を経験したことと思います。大事にしてください。

 すでに、ほとんどの皆さんが就職先を決められ、船に関連する分野へ進出されることと思いますが、海運界における日本人船員の地位については平坦な道ではないことが予想されます。海運界は未曾有の好景気と言われては居ますが君たち日本人船員にとっては安穏と船に乗っては居られないというのが現状でしょう。

 乗船期間を重ねるにつれ、実務経験はつきますが、果たしてそれだけできっちりとしたキャリヤパスとなるのでしょうか? 断じて、否です。 高等教育を受けた船舶職員が果たすべき役割、あるいは持つべき資質についてこれからは深く考えていただきたいと思います。基礎的な知識の充実とともに、多くの国々の人々との交流が可能となる道具としての英語のレベルアップに力を割いてください。このことが日本人船員の質の向上につながります。卑しくも高等教育を受けたからにはそれに応えるよう、なぜ、なぜと君自身の中で自問自答していく習慣をつけていただくことを希望します。

 実習船では大部屋での生活を単位としていましたが、現在の商船等においてはそれぞれが独立した居住区での生活を強いられるわけです。孤立した環境でも確実な基軸を持ち自分を出していけるようにして下さい。

 さいごになりましたが、第五十四期の訓練生が活発で、聡明で、好奇心旺盛な学生だったね、といわれるよう、好奇心の炎を燃やし続け、新しいことに挑戦するとともに、苦労は買ってでもして様々な状況を経験してください。謙虚に人の話に耳を傾け、ゆめゆめ一人で大きくなったなどという妄想を持たないでください。先生、先輩、兄弟、両親、そのほか諸々の周りの人に育てられた結果として今があることを理解してください。最後にもう一度英語に力を注いで下さい、きっと役に立ちます。

 皆さんの御安航を祈念しております。

 ボンボヤージュ

2006年9月22日
東京海洋大学長 高井陸雄


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