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東京海洋大学研究者インタビュー「海洋から未来を切り開く」

Q 現在の研究テーマを分かりやすく教えてください。

クルマエビ類の養殖に貢献することを目的として研究をしています。
現在、研究の一番の課題となっているのは病気です。魚は人と同じようにワクチンで予防するということができるのですが、エビは抗体を使った獲得免疫での予防ができないので、常にエビが健康な状態でいられるようにしないと、すぐに池の中で病気が広がって死んでしまいます。いかに病気を早く発見して、早く診断するか。あとはどんな病気がクルマエビの仲間の養殖場にはいるのか。そしてどうすれば健康な状態で飼えるのか。そういった研究がメインとなっています。
エビの病気も人と同じように細菌による病気もあれば、ウイルスによる病気や寄生虫による病気もあります。どんな細菌が病気を引き起こしているのかを研究するためにその細菌のゲノムの解析をしたり、そこにどんな毒素があるのかを調べたり、病原細菌をやっつけてくれる養殖にとって有用な細菌を探すというようなこともやっています。養殖にとって有用な菌を見つけることができれば、それを餌に混ぜることで予防ができるかもしれないし、養殖池に撒けば病気が抑制できるかもしれない。そういう“いい菌”を探すための手法の開発も学生たちと一緒にやっています。
現在の研究テーマ
Q 研究に取り組み始めたきっかけを教えてください。

私は東京海洋大学の学部生から博士課程までずっと一貫していまの研究室に在籍しているのですが、研究室に入る際に、実はエビ養殖は世界中で行われていて、水産業の中で魚よりも生産量が多いとても大事な産業だということを知り、面白いなと思って研究を始めました。
Q 研究の面白さややりがいを教えてください。

誰も見たことがない研究結果が出るのは面白さにつながっています。これはあまり科学的ではないかも知れませんが、実験結果を図にした時に、例えばその傾向や色合いが図に現れて、見た目にも格好良く、直感的に分かりやすいけれどその重要性が示唆できるような実験は、学生にとってもやりがいになると思ってやっています。
研究の面白さややりがい
Q その研究の未来を語ってください。
:短期的なもの(1~2年後程度)と長期的なもの(~10年後)

短期的なものとしては、先に述べたように病気を予防・抑制できるいい菌を素早く探すための手法の開発や、クルマエビそのものの生体防御システムを解明するための実験をしています。また、ウイルス病の原因ウイルスひとつとっても、ウイルス粒子ひとつひとつに違いがある可能性が最近明らかになってきているので、個別のウイルス毎のもっと細かい個性を見るような解析も始めています。
長期的には、現在は実験用のクルマエビは養殖されているものを注文して実験に使っているのですが、そうではなくて研究室で育てたエビから卵を取ってまたそこで育てていく。そうすることで、例えば遺伝子組み換えの実験や小さなエビを使った実験ができるようになるので、そういったことも長期プランとして進めていこうと考えています。
Q 研究は、SDGsのどの目標に貢献できますか。

「目標2:飢饉をゼロに」
病気が発生するとそこまで使っていた電力や水や人の労働時間がゼロになってしまうので、病気を防ぐことで食糧の生産性を間違いなくアップすることができます。エビは魚より餌料効率も良く、水産資源の活用の上でエビの養殖は大事なことだと思っています。
「目標14:海の豊かさを守ろう」
病気が発生すると近隣の海域も汚染してしまう可能性があるので、病気にならないエビの飼育や、病気の早期発見を目指して研究しています。
Q 東京海洋大学で研究する良さはどんなところですか。

一番は興味を持っている対象がみんな割と近いところです。海の生き物に関して何か発言した時に、それに対する反応は他の大学にはない良さがあると思います。あとは実験フィールドを持っているので、東京にいながら魚を飼育してサンプリングを行いながら研究できるというのは大きなメリットだと思います。
Q 研究を行う上で大切にしていることやポリシーを教えてください。

大切にしているのは、新しい技術を躊躇しないで取り入れるということと、やっていて面白い研究であるということです。キラッと格好良く見える研究というのは、研究室をやる上で大事だと思っています。
また大学は研究機関であると共に教育機関だと思っているので、研究を通じて社会に貢献できる人材になって欲しいと考えています。研究室にいる海外の人たちとの関わりによって国際経験を積んだり、国内外の学会でその地域の人たちと交流したり、地域の風土を知るような機会を得たり、研究を通じて社会人として向上するということを大切にしています。
Q 研究に疲れた時のリフレッシュ方法を教えてください。

研究室ではお昼の12時から13時まで運動をしています。やりたい人は外でソフトボールや、最近はサッカーもやっています。1日の決まった時間にそういうイベントを取り入れることで、それを軸にスケジュールを組むという練習にもなりますし、生活リズムが生まれて頭のリフレッシュにつながると思います。
Q 研究者を目指す人へのメッセージをお願いします。

研究をする時に何かに深く集中することは大事だと思いますが、幅の広い視点を常に忘れないようにして欲しいと思っています。海洋大学だから、海のこと魚のことだけを知っていればいいわけではありません。研究したいと思う人こそ様々な知識がないと困ってしまうことが増えますし、様々な知識を持っていた方が幅広く面白い研究ができると思います。魚が好きだから魚だけを勉強するのではなく、もっと視野を広げた視点を常に持つということが研究をしていく上では大事だと信じているので、そういう視点を忘れないようにして欲しいと思います。

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