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川戸 智(カワトサトシ)氏(修士2年)が第20回マリンバイオテクノロジー学会大会 最優秀ポスター賞を受賞

Last Update : 2018-05-29 14:42

 平成30年5月26-27日に宮崎県で開催された第20回マリンバイオテクノロジー学会大会において最優秀ポスター賞を受賞しました。

受賞研究論文タイトル

「甲殻類ゲノム中の分子化石が明らかにするWSSVの起源と進化」

受賞者(共著者)

 野崎玲子(東京海洋大学 海洋生物資源学部門 技術補佐員)
 近藤秀裕(東京海洋大学 海洋生物資源学部門 教授)
 廣野育生(東京海洋大学 海洋生物資源学部門 教授)

受賞研究論文内容

【目的】
White spot syndrome virus (WSSV) は、世界のクルマエビ類養殖に深刻な経済的被害をもたらしている二本鎖DNAウイルスである。WSSVは独立したニマウイルス科に分類され、近縁種に関する報告は乏しいため、その進化に関する知見はほとんどなかった。興味深いことに、甲殻類のゲノム中には、ニマウイルスに由来する配列が組み込まれていることが明らかとなった。本研究では、甲殻類のゲノムからニマウイルス様配列を探索し、比較解析することで、WSSVの進化史や、特徴的な遺伝子群を明らかにすることを目指した。

【方法】
Illumina MiSeqで甲殻類ゲノムDNAのショットガンシーケンシングを行い、得られた配列をCLC Genomics Workbenchでアセンブリした。BLASTおよびHMMERを用いてWSSV類似遺伝子を探索し、MAFFTおよびPROMALS3Dを用いて演繹アミノ酸配列を多重整列した。最尤法による系統解析にはRAxMLを使用した。

【結果・考察】
十脚甲殻類15種を解析し、これまでに新規ウイルス5種分の配列を得た。WSSVは、宿主細胞への接着や細胞内環境の改変に関わる遺伝子を近縁種よりも多く備えており、宿主との相互作用に関わる遺伝子の獲得と重複を繰返したことにより、近縁種と比べて強い病原性と広い宿主域を獲得したと考えられた。さらに、ニマウイルス科で広く保存されている外皮タンパク質のうち5つは、昆虫に感染するバキュロウイルスのホモログであったことから、海産甲殻類に感染するWSSVは、陸生昆虫に感染する二本鎖DNAウイルスと共通の祖先から派生したことが示唆された。

最優秀ポスター賞
最優秀ポスター賞

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