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エコシステムマネジメント(EBM)の基本概念と具体的な進め方:陸と海からのアプローチ(10/13)

Last Update : 2014-10-01 15:24

主催 水産総合研究センター、共催:東京海洋大学
日時 2014年10月13日(月)10:30~17:00
場所 東京海洋大学品川キャンパス2号館100A講義室
参加費 無料
定員 100名
参加申し込み

10月10日までに下記アドレス宛にメールにてお申し込みください。

  • 宛先:kiyot@outlook.jp
  • 件名:EBMセミナー参加希望
  • 本文:所属、氏名
コンビーナー 清田雅史(水研セ国際水研・東京海洋大客員教授)、村瀬弘人(水研セ国際水研)、牧野光琢(水研セ中央水研)、東海 正(東京海洋大)
開催主旨

気候変動や漁業の影響に対する懸念から、海洋においても生物多様性保全や、生態系に基づく管理(EBM, ecosystem-based management, 所謂エコシステムマネジメント)が求められている。EBMは1990年代の北米の森林管理に端を発するアプローチで、皆伐と植林のような平衡理論に基づく最大持続生産がもたらした弊害への反省から生態系の動的な機能に注目し、地域の社会経済活動と生態系の調和を図るため、モニタリングと順応的管理を通じて生態系サービスを持続的に利用する地域ベースの保全管理手法である。しかし海洋においては、具体的な管理目標設定やモニタリング評価手法の検討を先送りにして、海洋保護区(MPA)を設置すること自体をゴールとする短絡的な活動も見受けられる。海洋生物資源の持続的利用と環境保全を実現するために、海の生態系の管理理論と具体的実践方法の構築が急務となっている。

本セミナーはこうした背景を踏まえ、1)陸上の森林管理や河川管理を例としてEBMの基本概念を学び、管理計画やインパクト評価のために用いられる調査手法やデータを検討する。次に、2)海からの事例紹介を通じて、生物資源の持続的利用と環境保全を両立させるための計画立案、合意形成、モニタリングなどを具体的にどのように進めるべきであるか議論を行なう。さらに、森・川・海、林業・農業・水産業の共通点、相違点や包括的管理についても考えてみたい。

プログラム

1.趣旨説明 (10:30~10:45)

清田雅史(水研セ国際水研・東京海洋大客員教授)
近年欧米において台頭している『生態系に基づく漁業管理』は、定常状態を仮定した最大持続生産(MSY)理論の限界を指摘し空間管理(保護区)に向かう傾向が強く、旧来の水産資源管理と対立している面もある。その背景や目的、実践プロセスを理解するためには、森林管理に端を発する「生態系に基づく管理(EBM)」の理論と方法を学ぶことが有益であろう。また、グローバルな価値観である多様性保全や生態系管理を、いかにして海の現場に馴染ませて、地域ベースの自主的な管理の枠組みを構築するか考えることも重要である。

第一部:陸から学ぶEBMの基礎と実践

2.森林・河川・湿地における生態系管理-その考え方と実践-(10:45~12:30)

中村太士(北海道大学)
生態系管理の目的は、生物多様性の保全と生態系機能(サービス)の高度な発揮にあると考える。そのため、この2つの内容に関する近年の世界の動きをまず俯瞰し、生態系評価の可視化(地図化)など日本での検討状況を説明する。さらに、撹乱と生活史、その後に残される生物学的遺産(biological legacy)をベースにした生態系管理の考え方を、北米の事例を中心に紹介し、多様性保全ならびに生態系機能の発揮をめざした空間配置(連結性、マトリックス管理、生態系間の相互作用)について研究事例を示す。最後に、これらの考え方を基本とした自然再生と順応的管理、そして地域社会・経済への展開について持論を展開したい。

昼食(12:30~13:45)

3.生物多様性の優先保全地域候補の選定:Marxanを使った陸域での具体例と今後の課題(13:45~14:45)

赤坂宗光(東京農工大学)
自然保護区の設置は生物多様性の保全を進める主要な方策の一つである。しかし、保護区の設置に費やすことができる資源(予算、時間、人など)は有限であり、多くの場合十分とはいえない。このため、自然保護区とすべき優先保全地域候補の選定は、効率的に、生物多様性を保全できるように行う必要がある。本発表では、近年、保全生態学の分野で取り組まれている数理計画法に基づいて効率的に保護区を配置する候補を選定する枠組みであるSystematic Conservation planningについてその流れを紹介し、代表的なツールであるMarxanを用いた海外および国内の事例を陸域を中心に紹介する。さらに、区域選定と、その実際の設置の間にあるギャップ(Research Implementation gap)を埋めるために必要な取り組みについて議論したい。

休憩(14:45~15:00)

第二部:海からの事例報告

4.海の保全管理をめぐる世界的な動き(15:00~15:25)

清田雅史(水研セ国際水研・東京海洋大客員教授)

本来生態系と人間活動を融和させた地域ベースの協同的な管理の仕組みを構築するのがエコシステムマネジメントであるが、海に関しては国連や生物多様性条約などの国際機関を通じてトップダウンで数値目標が定められ、現場の意識との間に乖離が生じている。グローバルな価値観を地域に合わせた管理目標に翻訳する努力が必要であろう。

5.日本海ズワイガニ漁業における保護区の設置(15:25~15:50)

山崎 淳(京都府海洋センター)
海洋での保護区設置については、多様性や生態系の保全を目的に掲げてもなかなか漁業者の合意形成が得られないが、別の問題意識から自主的な取り組みとして、資源の持続的な利用と管理に踏み出した事例がある。底曳網による日本海ズワイガニ漁業において、全国で初めて保護区の設置に取組んだ京都府での事例を紹介する。

6.藻場保全における利害関係者による合意形成に向けて(15:50~16:15)

工藤孝浩(神奈川県水産技術センター)
生態系の保全管理を考える上で、利害関係者が集まり管理の目標や手順を定めるプロセスが重要であるが、それを実行するのは容易ではない。利害関係者を抽出して共通の目的に向かって合意形成する上でどのような点に留意すべきであるか、藻場保全の実例から学ぶ。

7.海洋保護区(MPA)におけるセクター間の役割分担(16:15~16:40)

牧野光琢(水研セ中央水研)
漁業者による自主的禁漁区など、水産セクター主導で設置される海洋保護区(MPA)は、水産資源の生息場の保全や持続可能な利用に向けた施策として有効性が期待されるが、それだけでは生態系保全を担保できない。水産施策、環境施策、国交施策、などの役割分担および連携について、私案を述べる。

8.総合討論(16:40~17:00)

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