東京海洋大学

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卒業・修了される皆様へ(学長式辞・来賓祝辞)

Last Update : 2020-03-24 13:21

令和2年3月期東京海洋大学卒業・修了における学長式辞
(学部・水産専攻科・大学院)

    

  

 御卒業・御修了、誠におめでとうございます。学長式辞.jpg
 そしてこれまで、陰日向になってご支援、ご指導を賜りました保護者の皆様方をはじめ、多くの関係者の皆様方に、心よりお慶び申し上げます。

 まずは、今年度の学位記・修了証書授与式が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のため、止むを得ず中止することになったことに対して、お詫び申し上げます。学位記・修了証書授与式は、人生の節目となるかけがえのない行事であることから、本学としても、式の規模縮小・時間短縮を含め検討してまいりました。しかしながら、国内外の感染拡大防止、そして、4月からの皆さんの新生活が安心してスタートできるようにと熟慮した結果、中止とさせていただくこととしました。学生の皆さん及び関係各位におかれましては、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
 式は中止となりましたが、大学を代表して挨拶文を、田畑日出男楽水会会長からのご祝辞とともにホームページに掲載させていただきます。

 さて、ここ数年、毎年多くの災害が発生しており、昨年も9月には台風15号が千葉県の房総半島を中心に、10月には台風19号が関東・甲信越から東北地方の広範囲に、さらには台風21号と低気圧の影響による記録的大雨により被災地に再度の甚大な被害をもたらしました。学生の皆さんやそのご家族の方には特に大きな被害はなかったと聞いておりますが、ご親戚などが被害を受けられたのではないかと心配しております。被害を受けられた方々に心よりお見舞い申し上げます。

 卒業生、修了生の皆さん、改めてご卒業、ご修了おめでとうございます。皆さんは、本学で海洋・海事・水産及びその関連分野について学んでこられた訳ですが、学部生の皆さん、思う存分学ぶことができましたか?専攻科の皆さん、長期航海で一まわりも二まわりも成長できましたか?大学院の皆さん、オリジナルの研究を世の中へ発表できましたか?そしてすべての皆さん、よき友人が得られましたか?皆さんが本学で学んで本当に良かったと思っていただけることを願っています。

 本学の学生情報誌、「拓海」に書いた内容を少し紹介させていただきます。
 昨年、ノーベル化学賞を受賞された吉野 彰氏は、リチウムイオン電池を開発しましたが、繰り返し充電可能、かつ軽量で高出力であることから、近年では、電気自動車の充電池にも採用され、化石燃料に頼らない社会の実現可能性を高めています。
 一方、本学では、2010年春に世界初の急速充電対応型電池推進船「らいちょうⅠ」を建造しましたが、この船舶は、吉野氏らが開発したリチウムイオン電池を搭載し、推進モーターを動力とすることで、「低騒音・低振動」、「航行中の排気ガスや二酸化炭素を出さない」、「高出力かつ短時間の充電時間」などの特徴を兼ね備えています。「らいちょうI」は、海洋工学部の先生方の多大なる努力により開発されたものですが、実用化には多くの時間が費やされました。具体的には、2014年に試験的な民間の観光船を建造し、5年後の昨年になって、福井県の美浜町から、観光船として利用できないかとのオファーがあり、産業的な動きが出てきたところです。最初の建造から実に10年の歳月が流れたということになります。
 このように、新たな開発と製品化には多くの時間がかかります。皆さんの中にも製品化までいかなくても、その一端について研究・開発された方もいらっしゃったのではないでしょうか?今後、社会や大学で行う研究では、先を見通した地道な努力が必要になります。ぜひこのことを忘れずに、今後のモノづくりに役立てていただきたいと思います。

 ここで、本学海洋工学部の前身である「三菱商船学校」を設立した岩崎彌太郎の名言を、"はなむけ"として皆さんに送りたいと思います。「一日中、川の底をのぞいていたとて、魚はけっして取れるものではない。たまたま魚がたくさんやってきても、その用意がなければ、素手ではつかめない。魚は招いて来るものでなく、来るときに向かうから勝手にやってくるものである。だから魚を獲ろうと思えば、常平生からちゃんと網の用意をしておかねばならない。人生全ての機会を捕捉するにも同じ事がいえる。」
 皆さんが、今後、社会で働いたり、進学して研究した後、何かをなし遂げようとする際には、折に触れ、この言葉を思い出して、絶えず準備を怠らず、チャンスが巡ってきた時にはしっかりとものにして欲しいと思います。

 本学では、今後の海洋AI産業の発展に鑑み、昨年、卓越大学院プログラムを起ち上げ、その中核として「海洋AI開発評価センター(MAIDEC)」を設置し、この4月から大学院生の受け入れを開始します。このプログラムは「海洋産業が求める自律航行船の開発」、「人工衛星やアルゴフロートデータに基づく海洋観測」、「水圏生物のゲノム情報解析」、「水産資源の評価と管理」、「次世代スマート水産業の創設」等、海事・水産を含む海洋の広範な分野について、AIを絡めて網羅的に教育・研究するもので、2022年度からは、社会人を博士後期課程に受け入れることとしています。さらに、2026年度には、「海洋産業データサイエンス専攻(仮称):博士課程5年一貫コース」を設置する予定です。
 皆さんが、今後これらのAIに関わる分野を担当される際には、ぜひ本学の大学院に社会人として入学して、さらなるスキルを身に付け、レベルアップを図っていただきたいと思います。これは、いわゆる「リカレント教育」の具現化ということにもなるかと思います。
 さらに、リカレント教育の一環として、博士前期課程に「食品流通安全管理専攻」の職業実践力育成プログラムを設けて、夜間や土・日曜日を中心に講義をしていますが、この程、厚生労働省から「専門実践教育訓練講座」として指定されたことから、優遇措置が受けられますので、受講の際には、ぜひ、ご活用いただければと思います。

 最後に、皆さんが悩んだ時や、行き詰まったりした時には、論文指導でお世話になった恩師のみならず、同窓会組織である「海洋会」や「楽水会」をぜひ頼ってみてください。同窓会の会員は皆さんの身近なところにいて、いつでも皆さんを助けてくれると思います。そして、まだ、会員になられていない方は、この機会に是非会員になってください。

 それでは、しっかりと前を見据え、万事怠らず、国内のみならず、世界で活躍されることを期待しています。今回の新型コロナウイルスによる様々な困難を乗り越え、素晴らしい人生を歩んでください。皆さんに幸多かれ!
 本日は誠におめでとうございます。

                        令和2年3月25日           

                                 東京海洋大学長 竹 内 俊 郎    

祝     辞

来賓祝辞.jpg 一般社団法人楽水会会長の田畑でございます。同窓会を代表して一言お祝いのご挨拶を申し上げるべきところ、今年の卒業式は、新型コロナウィルスのパンデミックのため、やむなく中止となり、とても残念なことで、皆様のお気持ちをお察し申し上げます。
 本学の所定の課程を終え、大学を卒業される皆様、また、大学院を修了される皆様、本日はおめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。
 ご家族の皆様には、この日をどれほど待ち望んでおられたか、お喜びもまたひとしおのことと存じ上げ、重ねてお祝いを申し上げます。
 東日本大震災からはや、9年が経過しましたが、水産業を始め被災した事業の再開にご苦労されている同窓の方々に、まず、心からお見舞いを申し上げます。
 さて、社会人となられる方、さらに大学院に進学し学業を続けられる方もおられますが、大学の卒業は、同時に、新しい目標に向けた人生の次なるスタートの時でもあります。皆様方がそれぞれ活躍される二十一世紀の社会は、グローバル化と情報化が飛躍的に進む中で、気候変動やエネルギー、食料、環境等、特に、わが国では少子高齢化による様々な課題が山積しています。
 その解決の為のイノベーション、つまり革新が次々と求められており、今や時代は大きな変革期を迎えていると言っても過言ではありません。
 一方、皆様が飛び込む社会は、ICTやIoTを駆使し、ビッグデータを集め、人工知能で判断するという超スマート社会、つまりSociety 5.0として強力に推進し、実現していく社会であります。
 また、国連では、国際社会全体の持続可能な開発のための目標をSDGsとして2030年を期限とする包括的な17の目標と169のターゲットを設定しています。
 目標の13は、「気候変動に具体的な対策を」で、気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じることや、14では海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する等、私たちにとって、大きな目標が示されています。
 第三期海洋基本計画においても、主要施策の中に、海洋の産業利用の促進や海洋人材の育成が挙げられており、本学においては、様々な時代の変化に対応した先端的な取り組みをされておられます。
 その一つに海洋産業AIプロフェッショナル育成卓越大学院プログラムが採択され、2020年4月より開講されますが、これは、新たな産業の創成に貢献する博士課程の人材育成のプログラムで、社会人にとっても素晴らしいことであり、リカレント教育等によって得意分野にさらに磨きをかけるチャンスだと思います。
 振り返れば、私が本学を卒業する頃は公害対策基本法が制定され、公害問題や環境問題が全国で顕在化し、海域の汚染を始め、その解決のために専門的な技術者の知恵の結集が求められておりました。
 私は本学の大学・大学院を通して学んだ知識を生かし、卒業後は一貫して環境コンサルタントとして、社会の要請に取り組んで参りました。
 今日我が国では、地球温暖化、資源の浪費、生態系の破壊の、三つの危機を乗り越え、持続可能な社会の姿として、低炭素社会、循環型社会、自然共生社会の各分野を総合的に達成しなければならないとされております。
 また、国際的には、「パリ協定」において、世界共通の長期目標として気温の上昇を産業革命前と比べて2℃未満に抑える「2度目標」を設定しています。その為に、我が国は温室効果ガスを2030年までに26%削減することを約束し、さらに2050年には80%削減することを目指しております。
 これらの目標を達成するためには、社会・経済システムの大きな政策の転換や新しい技術革新が求められます。2030年、2050年頃はどんな姿になっているのか想像してみてください。
 しかし、これは、一見すれば厳しい社会のさなかにある時代でありますが、考え方によっては、若い皆さん方にとって、大きなチャンスのある時代でもあります。若いエネルギーは、これらの分野においても、力強い牽引力となり、また、本学で学んだ知識は、社会で期待され、大きく花開くと確信しております。
 ここで、私の先輩としての経験から、次の三点を皆さん方に心がけていただきたいと思います。

 一.「光陰矢のごとし」といいますが、時間の過ぎるのは早いものです。それぞれが目標を立て、課題を見つけ、解決するために自己啓発を怠らないことです。リカレント教育もその一つでしょう。そして、変化の多い時代にイノベーションを起こし、対応してください。

 二.仕事の面ではPDCAを回し、満点を目指してください。「玉磨かざれば光なし」といいますが、社会人になると、仕事のミスは許されません。私は、このことを「これでよいのか、チェックとアクション」をするようにと言っております。それによって仕事の成果を満点に仕上げてください。

 三.社会生活においては、コミュニケーションのできる人であり、報告、連絡、相談つまり、「報・連・相」のできる人になることを期待しております。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」と言われております。メールで情報交換をすることも大事ですが、まずは、Face to Face・Voice to Voiceで議論を交わしてください。
 そこには、新しい気づきに出会うきっかけがあります。
 その中で友情や信頼が生まれ、自然と仕事や学問もスムーズにいくようになります。

 最後になりますが、私が会長をしております「楽水会」は、来年百周年を迎えます。1921年に社団法人となり、水産業の進歩発展に貢献して参りました。会報の同窓会報(楽水会誌)は1891年創刊です。
 また、「海洋会」は、1920年に社団法人となり、海事に関する学術の発展に貢献して参りました。両法人とも、皆さん方の学生生活を支援し、それぞれの産業の発展に寄与して参りました。どうか、皆さん方には、自信と誇りを持ち、母校に対する帰属意識を尚一層高めていただき、今度はそれぞれの会員として大学や後輩を支援していただきますようお願いいたします。困ったり悩んだりした時には、遠慮なく楽水会や海洋会を訪ねてください。きっと良い解決方法が見つかると思います。
 皆さん方のこれからの新しい門出を心より祝福し、健康で、社会や学問の世界で更なるご活躍をされることを信じています。江戸時代中期の名君、上杉鷹山は次のように言っています。
 「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」という言葉です。
 これは、「やればできる、やらなければできません。できないのは、やらないからだ」という名言です。
 私もこの名言を座右の銘としています。
 本日は誠におめでとうございました。

令和二年三月二十五日                

一般社団法人楽水会 会長 田畑 日出男 

 上記の他にも、関係企業・機関の皆さまから祝電など様々な形でご祝意をいただいております。
 この場を借りて、厚く御礼を申し上げます。

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