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平成26年度東京海洋大学入学式における学長式辞

ご入学おめでとうございます。
本学を代表して、心よりお祝い申し上げます。

東京海洋大学は130有余年の歴史を有し、日本を代表する海洋系大学として、海洋・海事・水産の分野で優れた研究成果をあげているばかりでなく、海鷹丸をはじめとする4隻の大型練習船は、大震災復興支援の一環としての福島沖の放射能汚染の実態調査や、国立極地研究所との共同事業である南極海域調査などの国家的、国際的な活動を展開しており、その取組みは社会から高く評価されております。また、第70代内閣総理大臣 鈴木善幸氏や、現防衛大臣 小野寺五典氏、沖縄電力株式会社相談役の當眞嗣吉(とうまつぎよし)氏、前日本水産株式会社社長の垣添直也氏など、多くの優れた人材を政財界や行政などに幅広く輩出していることは、私たちの誇りとするところです。皆さんも、海洋・海事・水産における自分の立ち位置を見極め、日本の発展はもちろん、世界への貢献を視野に、勉学に励んでいただきたいと思います。

私は皆さんを海洋大に迎えるにあたり、チャレンジする心の大切さについてお話しようと思います。学部入学の皆さんの4年間、大学院博士前期課程入学の皆さんの2年間、博士後期課程の皆さんの3年間の過ごし方には、それぞれに違いがあることは当然でありますが、学部、大学院での学理修得や研究への取組みにおいて、限られた期間を充実したものにできるかどうかは、皆さん自身の過ごし方に掛かっています。

ナポレオンは「不可能は小心者の幻影であり、卑怯者の逃避所である」と述べ、ものごとにチャレンジせず、「不可能」だと決めつけてしまうのは、小心者の思い過ごしであり、また卑怯者が逃げるための口実に使うものだとの言葉を残しています。自らの内面に潜む弱さと真正面から対峙し、可能性を求めて挑戦し続けてほしいと思います。そのためには、自分が今、何にチャレンジしているかを自問する必要があります。授業への出席にしても、この授業で何を学ぼうとしているのかは学生自身が決めることであり、これを意識することによって、先生が何を伝えたいのか、学生に何を学んでほしいのかが見えてくるのです。先生が何を伝えたいのかが見えてこないのは、自分がその授業で何を学ぼうとしているかが勉強不足だからです。大学というところには、自分を問うための時間が保証されています。少し逆説的な表現をしますが、自分を確かめるために授業があるのです。研究においても同じです。自分が何を明らかにしたいか、何をしたいかがまず問われているのです。与えられたものを覚えれば評価してもらえることに慣れてしまっている人にとっては、何をしたいか、何を明らかにしたいかを自分に問う、自分で見つけるのは簡単ではないかもしれません。自分に自信を失くすようなこともありましょう。そんな時にこそ、ナポレオンの言葉「不可能は小心者の幻影であり、卑怯者の逃避所である」を思い出し、困難に立ち向かう自分を取り戻していただきたいと思います。

海洋大が教育研究の領域とする「海」は世界につながっています。日本はもちろん世界を視野にした活躍の場として、「海」はその可能性を皆さんに託しているのです。自分を信じ、可能性に向かってチャレンジし続ける、充実した大学生活を送っていただきたくお願い申し上げます。

最後になりましたが、2011年3月11日に発生した東日本大震災では多くの人命が失われ、今でも行方のわからぬ方々が多数おられます。国をあげての復興支援が続けられておりますが、被災地の復興は必ずしも被災者の皆様が納得できるものでないことは広く報道等で知るところです。福島原発事故も終息しておりません。恐ろしいのは、時間の経過とともに、私たちの意識が東日本大震災から離れていくことです。「3.11を忘れない」を皆さんとともに改めて確認し、平成26年度東京海洋大学入学式における私の式辞と致します。

平成26年4月7日
東京海洋大学長 岡本 信明

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