東京海洋大学

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東京海洋大学についてAbout TUMSAT

平成28年度4月期東京海洋大学入学式における学長式辞

本日ここに集われた学部・水産専攻科・大学院への入学・進学生の皆さん、また、すでに航海訓練中の乗船実習科の皆さん、おめでとうございます。これまで親身になって皆さんを支えてこられた保護者の皆様、さぞお喜びのことと存じます。

本日はご来賓として、本学の同窓生であります衆議院議員小野寺五典代議士、本学同窓会の楽水会会長 田畑様、海洋会会長の山本様をはじめ、独立行政法人海技教育機構野崎様、経営協議会学外委員、名誉教授の皆様にもお越しいただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。小野寺議員並びに井上経営協議会委員には後ほどご祝辞を賜りたいと存じます。本日は、ここに列席の本学理事・副学長・監事・学部長・研究科長および教職員一同とともに、心からお祝いしたいと思います。それでは、この良き日に、東京海洋大学を代表し、一言お祝いの言葉を述べさせていただきます。

東京海洋大学は2003年10月に統合した比較的新しい大学ですが、その前身であります東京商船大学と東京水産大学は、1875年と1888年にそれぞれ設立された歴史と伝統のある大学です。旧東京商船大学の前身であります私立三菱商船学校は三菱財閥を創業した岩崎弥太郎が設置したもので、その後、官立に移行し、東京商船学校、東京高等商船学校を経て、1949年商船学校、その後、東京商船大学となり、昨年140周年を迎えました。一方、旧東京水産大学は、大日本水産会が水産伝習所として創設し、その後、農林省第一水産講習所と名前を変え、1949年に大学制度改革で東京水産大学となり、2003年に東京海洋大学として発足するまで、すでに115年の歴史を有しています。東京海洋大学は旧両大学の伝統のみならず個性と特徴を継承していると共に、国内唯一の海洋系大学として「海を知り、海を守り、海を利用する」をモットーに教育研究を行い、我が国が海洋立国として発展していく中心拠点としての役割を果たすべく、努力しております。

本年1月、本学にとってうれしいニュースがありました。イギリスの高等教育専門誌であります、タイムズハイヤーエデュケーションが世界大学ランキングを毎年発表していますが、本年は特に、小規模大学世界ランキングをまとめ、本学が世界の20位に入ったことです。総学生数が5000名以下の大学であることから、小さな大学、tiny universityの合成語"#tinyversity"というロゴも作成されました。この20位の中に、海洋・海事・水産分野を持つ大学は本学のほかに入っていないことから、文字通り、小さいけれどもこの分野で世界のトップクラスに位置する大学と認められたことになります。山椒は小粒でもピリリと辛いというたとえがまさにぴったりの大学といえます。皆さん、このことを誇りに大学生活を過ごしてください。

まず、学部新入生の皆さん、きょうこの時から東京海洋大学生となるわけですが、それぞれ様々な思い、気持ちを持ってこの場に臨んでいることと思います。今後の皆さんの未来は皆さん自身が作り上げていくものであります。しっかりと前を向いて進みましょう。われわれ大学の教職員はみなさんの学生生活への支援を惜しみません。先ほど述べました通り、本学は海洋・海事・水産に特化したとてもユニークな"#tinyversity"です。何か、興味を持って勉強してみましょう。必ずや面白いことがあるはずです。そして、そのことについて深く勉強しましょう。皆さんを学士(海洋科学・工学)の称号付与へといざなってくれることでしょう。大学は「学」をなすところです。高校や専門学校とは違うのです。本学において、「科学」と「技術」を兼ね備えた、学識と応用力を身につけてください。自ら主体的に努力し、あきらめずに極める姿勢が問われます。大学は遊ぶところではありません。将来の方向性をしっかりと見据え、大学生として教養を身につけ、物事の本質を見通す能力を高めて欲しと思います。さらに、本学はグローバル化に対応して、英語教育充実の一環として、海洋科学部では入試の出願要件に外部英語資格試験のスコアを本年度から提出してもらいました。その点では皆さんが第1期生です。もう1つ4年次への進級要件としてTOEIC 600点も設定しています。もちろん皆さんが4年生になれるよう、TOEIC入門クラスや夏季集中講座、補講クラスはもちろん、自習用個人ブース、学習方法のカウンセリングなどを行う英語学習アドバイザーを常駐させて、皆さんのサポートを行っています。海外派遣キャリア演習、別名海外探検隊プログラムと言って、海外に1か月滞在して、グローバル企業のインターンシップを受ける演習も体験できます。2014年からこの2年半で、アジア5か国に計86名の学生を派遣しました。一方、海洋工学部では、海事英語の学習プログラムを中心としたグローバル・リーダーシップ・イニシャティブ・プログラムを実施し、将来、グローバルな知識に根ざしたリーダーシップが発揮できる学生を育てるよう認定コースを設けています。
水産専攻科生の皆さんは、この1年間、三級海技士免許(航海)の取得に向けた、座学と練習船による航海実習を行うことになります。最後の"総仕上げ"として、3か月間のインド洋及び南極海への実習があります。その航海において、シーマンシップ(1. 船舶の操縦術。操船術。操艦術。2. 船乗りとしての心構え。船員の職業倫理。)を学ぶわけですが、そこで特に心構えとして重要なのは"掟(おきて)"であるとも言われています。船舶という閉鎖空間の中で、集団で一致団結し作業をこなしていくこと、そのためには、船長を中心とした命令系統の中で、それぞれがコミュニケーションをとり、お互いに認め合い、励ましあいながら決められた規律の中で船を動かし、最大限リスクを回避しながら任務を遂行する必要があります。このようなシーマンシップを学ぶことは、今後皆さんが社会に出た時には極めて有効になることでしょう。
すでに航海訓練中の乗船実習科の皆さんは、さっそく4月16日から練習船海王丸にて、ホノルルへの遠洋航海が待ち受けています。帆船を用いた航海ということで、入念な準備を行っていることでしょう。安全な航海をお祈りしております。
大学院へ進学あるいは入学された皆さん、これからの研究に胸を膨らませていることでしょう。"理工系人材育成に関する産学官円卓会議"が継続的に行われており、昨年12月の会議議事録の内容を1つご紹介します。修士では、1.世の中の変化に柔軟に対応しながらリーダーシップを発揮できる人材の養成、2.物事を多角的に考えられる資質を高めるためのより高度な教養の学習、3.与えられた状況において最適な解を導き出すことのデザイン力をいかに育成するか、といったことが学ぶべき上で大事であること。さらに、断片的な知識はインターネットなどで得やすいが、体系化された知識が身につくようにすることが大事であり、課題設定力・解決力等をはぐくむのは博士課程では遅く、修士課程で取り組むべきとも議論されています。これらの点をよく胸に刻んでおいてください。また、いくつかの専攻では、英語による授業が行われており、学部同様、グローバル化に対応したプログラムを実施しています。
博士後期課程の皆さんは、当然いま述べてきたことを前提に、"たこつぼ"的な研究に没頭することなく、現在行っている研究がどのように実社会に役立つのかを絶えず考えながら、進めて行っていただきたいと思います。そして、国際会議やシンポジウムでの発表や、国際誌への投稿を行い、自らの研究を積極的に世に問うてください。これらの努力の結果が、必ずや大学院の皆さんに海洋科学あるいは工学の修士・博士の称号付与へと導いてくれます。

次に、本学が大学改革の一環として進めております、間もなく設置申請予定の新学部の内容について少し説明します。新学部の名称は仮称ですが「海洋資源環境学部」とし、大気から海底までの総合的な海洋科学に関する理解を基礎に、海洋自然エネルギー・海底資源の利用、海洋環境の保全・修復等で、国際的に活躍できる高度な専門人材養成を図り、海洋開発産業の創出に貢献することを目的に設置するものです。学科は「海洋資源エネルギー学科」と「海洋環境科学科」いずれも仮称ですが、この2つを設置申請する予定です。教員については、外国人教員や実務家教員を積極的に採用して、グローバル人材教育を加速する体制を強化します。また、大学院についても学部設置と同時に海洋環境保全学専攻を海洋資源環境学専攻(仮称)と改称し、海洋産業の研究を積極的に推進し、高度海洋技術者などの高度専門職業人材を養成する予定です。なお、旧来の海洋科学部は海洋生命科学部(仮称)と名称を変更し、水産や食品のみならずバイオに関する教育・研究を推進し、経営・流通を含めた一貫した教育・研究システムを構築します。海洋工学部は海事・ロジスティクスに関する教育に加えて、海洋の利用に関わる多様な工学技術についても重点的に教育研究を行う体制に移行します。2017年、すなわち来年4月に新入生を品川キャンパスに受け入れ、3学部体制をスタートさせる申請を行う予定です。そのため、申請が認められれば、現体制の組織としては、皆さんが学部および大学院それぞれの最後の入学生となります。ただし、すでに新学部・新専攻に採用された先生方からも皆さんは学ぶことができ、さらに幅広い知識を身につけることができますので、楽しみにしてください。

最後になりますが、昨年本学の中長期的な将来構想を立ち上げ、2027年までに成し遂げるべき「ビジョン2027」とそのアクションプランを広く公表しました。これは一致団結して大学改革を進めようとの趣旨から作成したものです。ここで、内容について少しご紹介します。国立大学法人は6年ごとの中期目標・中期計画を基に、事業を進めています。今年は第3期の中期目標・計画の初年度に当たります。私は昨年学長に就任しましたが、その折に、2027年に終了する第4期終了時にむけた本学の目標を明示しました。5つの項目に分け、まず1つ目の教育では、教育ガバナンス・教学マネジメントの確立、2つ目の研究では、世界トップクラスの研究推進と若手人材の育成、3つ目の国際化では、国際性豊かなキャンパスの創造、4つ目の社会・地域連携では、地域創成の推進と研究支援人材の育成、最後の5つ目の管理・運営では、学長のリーダーシップによる効率的・合理的なユニバーシティー・ガバナンスの実現、を掲げ、そのアクションプランとロードマップを作成し、本年から具体的に実施しているところです。このビジョンを達成するためには、徹底した経費の削減を行い、全学の資源を有効に活用する必要があります。そして、厳格な評価の基に、教育、研究、国際化、社会・地域連携、管理・運営の質の向上を図らなければならないと考えています。さらに、教職員、学生、同窓生の一人一人が改革の目標と問題意識を共有する必要があり、皆様方を含めた関係各位の積極的なご協力が欠かせません。このビジョンにご賛同いただければと思います。しかしながら、国の財政難から必要とされる資金が入らず、思うようにプランが実施できない現状にあります。そこで、皆様方からの浄財をぜひ大学基金に入れていただきたくお願い申し上げます。このような高い位置からのお願いで恐縮しますが、ぜひ、よろしくお願いいたします。

本日ここにご入学・ご進学された皆さん、学部・水産専攻科・大学院それぞれにおいて本学が行っておりますカリキュラムポリシーに従い、しっかり学んでください。それにより、この伝統ある東京海洋大学を卒業・修了する時、物事に動じない強い精神力を持った社会人になることができると信じております。そして、多くのかけがえのない友人を得、社会で必要とされる知識と豊かな先見性と想像力を持って未来に挑戦し、活躍できる資質を備えられることを祈念して、入学式の式辞といたします。

平成28年4月7日
東京海洋大学長
竹内 俊郎

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