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東京海洋大学についてAbout TUMSAT

平成28年度東京海洋大学学位記・修了証書授与式における学長式辞

御卒業・修了、おめでとうございます。今日の良き日を迎えるにあたり、陰日向になってご支援、ご指導を賜りました保護者の皆様方をはじめ、多くの関係者の皆様方に、まず、心より御礼申し上げます。
本日ご出席頂いておりますご来賓の、本学同窓会海洋会会長で経営協議会委員の山本様、楽水会会長で本学名誉博士の田畑様をはじめ、経営協議会委員、名誉教授の皆様、および教職員一同とともに、心からお祝いしたいと思います。ここに、大学を代表して一言ご挨拶申し上げます。
近年自然災害が多く、昨年だけでも、熊本地震・鳥取地震や阿蘇山の噴火、東北・北海道を中心とした台風被害などがあり、被災された多くの皆様方に心からお見舞い申し上げます。そして、2011年に発生しました東日本大震災とそれに伴う福島原子力発電所の放射能漏れによる被害を受けた方々、亡くなられた方々に対して、改めて哀悼の意を表します。災害の傷痕はまだまだ深く、継続的な支援が必要と感じています。本学ではこの6年間、東北地方沿岸地域、特に水産業が盛んな地域における復興のお手伝いを、岩手大学・北里大学・本学の3大学連携による事業を行うとともに、文部科学省の東北マリンサイエンス拠点形成事業、気仙沼市へのサテライトの設置と連携協力、福島沖での本学の練習船、海鷹丸・神鷹丸を用いた放射能測定、その他、震災復興に係わる多くの事業に携わってまいりました。本学は今後とも復興支援を継続していく所存です。

学部卒業の皆さん、4年間の学生生活はいかがでしたか?思う存分学ぶことができたでしょうか?部活動やアルバイトをしすぎたかな・・・と思っている人も多いかもしれません。社会に出たときに、もっと勉強しておけばよかったと思うかもしれません。その時には、学生時代の授業を思い出して、学び直しましょう。慌てることなく、じっくり、しっかり学べばよいのです。
水産専攻科修了の皆さん、長期航海で一回りも二回りも成長できていることを、先日の帰港式で確認いたしました。理性と教育だけではなく、経験によって精神を訓練し、鍛え上げることによって決断と実行が可能になることも体得したことでしょう。乗船実習を通して経験し、習得したことは、これからの人生において価値ある財産、生きていく力となることを期待しています。今回は、南極観測60周年となる節目の年であり、いろいろなイベントもありました。これらの経験を生かして、これからの社会での仕事に役立ててください。

大学院修了の皆さんは、学部での知識を基に、専門分野をより深く、また、幅を広げた勉学や、オリジナルの研究を行えたでしょうか? そして、国内外に自分自身の成果を発表できたでしょうか? 大学院で行った研究は、答えのない不安を感じるものがあったと思います。時には成功し、時には失敗し、それを繰り返しながら真理を探求してきたわけです。そのような試行錯誤を経験した、その"時"が、あなたにとっての大きな成果の一つだといえます。成果というのは、単に論文を書いたり、学会等で発表しただけでなく、物事の本質に迫ろうとした努力、それに費やした時間も大きな成果になります。
皆さんの進路は、社会に出る人、これからさらに進学する人、様々でしょう。ここで、皆さんの門出に際し、一つお話しします。エクセター大学のスティーブン・スミス学長は、2010年にニーズの高い仕事トップ10には、2004年には存在していなかった業界が占めていたということ、また、ニューヨーク市立大学のキャシー・デビットソン教授は、今の小学生が大学を卒業する時点、大体15年先だと思いますが、その時点で、65%の生徒が今は存在しない職業に就くであろうということを言っています。さらに、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授は、今の仕事の47%は20年以内には自動化されるだろう、とも言っています。このように、今後世の中の仕事の質や量がともに大きく変わることを予言しています。皆さんはまさにそのような時代の中で仕事をし、世の中を渡っていかなくてはなりません。本学の学生情報誌"拓海"にも掲載しましたが、Learn from yesterday, live for today, hope for tomorrow. The important thing is not to stop questioning . [過去から学び、今日のために生き、未来に対して希望を持つ。大切なことは、何も疑問を持たない状態に陥らないことである]と、アルベルト・アインシュタインは述べています。これまで、本学で学んだ知識はそれほど多くはありません。これからは、書物や経験を踏まえて様々なことを体験し、絶えず疑問を持ち、それを解決しながら、総合的な判断を行い、社会の荒波を乗り越えていかれることを強く望みます。本学は実学を重視し、人のため、産業界のために役立つことを後押しする大学です。この原点を忘れないでいてください。

また、皆さんが悩んだときや、行き詰まったりしたときには、ぜひ卒論や学位論文でお世話になった恩師を訪ねてください。あるいは、同窓会組織である海洋会や楽水会を頼ってみてください。同窓会の会員は皆さんの身近なところにいて助けてくれると思います。まだ、会員になられていない方は、この機会に是非会員になってください。本学は心の"オアシス"、"母なる港"です。皆さんを一人一人大事にし、覚えてくれている、面倒見がよい、小規模な大学"tinyversity"です。親身になって何らかの示唆や解決の手立てを考えてくれるはずです。

そして皆さん、よき友達が得られたでしょうか? 皆さんが本学の越中島キャンパスや品川キャンパスで学び、過ごした学園生活が本当に良かったと思っていただけることを願っています。本日この式は学位記授与式であり、卒業式graduationではなく、commencementを用います。すなわち"始まり"です。皆さんがグローバルな視点に立って、研究者、船舶職員、高度海洋技術者や高度専門職業人など、有為な人材としてこれから大いに羽ばたく、新たな"始まり"であることを強く自覚し、自分自身を高めていってください。
皆さんに幸多かれ! 本日は誠におめでとうございます。


平成29年3月24日
東京海洋大学長
竹 内 俊 郎

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