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平成30年度東京海洋大学入学式における学長式辞

平成30年度4月期
東京海洋大学入学式における学長式辞

 本日ここに集われた学部・水産専攻科・大学院への入学・進学生の皆さん、また、すでに日本郵船、商船三井、川崎汽船などの商船や海技教育機構の帆船海王丸にて出港準備中の乗船実習科の皆さん、ご入学・ご進学おめでとうございます。これまで親身になって皆さんを支えてこられた、ご家族など保護者の皆様におかれましても、さぞお喜びのことと存じます。

 本日はご来賓として、本学同窓会の楽水会会長で、本学名誉博士の田畑様、本学同窓会海洋会会長で、経営協議会委員の山本様をはじめ、経営協議会委員、名誉教授の皆様にもお越しいただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。井手経営協議会委員には後ほど、ご祝辞を賜りたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。この良き日を迎え、列席の本学教職員一同とともに、心からお祝いしたいと思います。それでは、一言お祝いの言葉を述べさせていただきます。

 4年制の国公私立大学は日本全国に780校ほどありますが、その中から、皆さんがこの東京海洋大学を希望し入学されたことに対して御礼申し上げます。一昨年1月にイギリスの高等教育専門誌であります、タイムズハイヤーエデュケーションが発表した「小規模大学世界ランキング」において、本学は2016年のランキングで世界の第20位に入ったことから、小さな大学、tiny universityの合成語"#tinyversity"というロゴを頂きました。本学は、小さいけれども世界のトップクラスに位置する「山椒は小粒でもピリリと辛い」というたとえがまさにぴったりの面倒見の良い大学です。皆さん、誇りを持ち、安心して大学生活を過ごしてください。本学に入学して本当に良かった、と思っていただける大学であると確信しております。

 本学は、東京商船大学と東京水産大学が200310月に統合した大学です。旧両大学は、設立後100年を上回る歴史と伝統を兼ね備えた大学です。旧東京商船大学の前身であります私立三菱商船学校は三菱財閥を創業した岩崎弥太郎が設置したもので、その後、官立に移行し、東京商船学校、高等商船学校などに名称を変更後、1957年東京商船大学となり、3年前に140周年を迎えました。一方、旧東京水産大学は、大日本水産会が水産伝習所として創設し、その後、農林省第一水産講習所と名称を変更後、1949年に大学制度改革で東京水産大学となり、今年で130周年を迎えます。東京海洋大学は旧両大学の伝統のみならず、個性と特徴を継承していると共に、国内唯一の海洋系大学として「海を知り、海を守り、海を利用する」をモットーに教育・研究を行い、我が国が海洋立国として発展していく、中心拠点としての役割を果たすべく、努力しております。

 本日ここでは、グローバル人材育成についてお話しいたします。昨今多くの大学が、教育方針としてグローバル人材育成を掲げていますが、本学でも、3年前に策定した「ビジョン2027」のアクションプランにおいて、国際的な基準を満たす質の高い教育の確立、産官学のリーダーの輩出、多様なグローバル人材の育成、そのうえで、海洋分野で世界をリードする独創的な教育プログラムとトップクラスの研究の推進を掲げ、2027年度までに達成すべき項目の中に位置付けています。

 では実際にグローバル人材とはどういうものなのでしょうか?大学コンソーシアム大阪の塩川氏の論文(文部科学教育通信No.423, 11-13, 2017)に基づいてお話ししたいと思います。よく言われているグローバル人材の要素としては、語学力・コミュニケーション能力、主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感、異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティーがあげられています。コミュニケーション能力や協調性、すなわちリーダーシップ、主体性・積極性としての課題発見能力や解決能力などについては、特に企業の方々から必ず求められる重要項目といえます。

 また、入学時点での国際性もまた重要です。1619歳を対象とした「国際バカロレア資格」という国際的に認められている大学入学資格があります。これから、この国際バカロレラが目指す学習者像について述べますので、それらを持ち合わせているか、各自確認してみてください。10項目あります。まず、物事を探求する人、次に、知識がある人、考える人、コミュニケーションができる人、信念のある人、心を開く人、思いやりのある人、挑戦する人、バランスの取れた人、最後に、振り返りができる人、いかがでしょうか?これらのことを持ち合わせていれば、本学のグローバル教育の入り口に立っているといえます。少し弱いかなという項目があっても気にせずに、これから学び、身に付けていけばよいと思います。

 一方、21世紀は新たな対応に迫られる世紀でもあります。例えば、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授は、「今の仕事の47%は20年以内には自動化され、そのため多くの仕事がなくなっていくだろう」と言っています。そのような時代においては、どのようなスキルを持って世の中を生き抜いていくのかが重要であり、「21世紀型スキル」として四つの領域と10のスキルが発表されていますので、その内容についてお話ししましょう。
 
まず一つ目の領域は、Ways of Thinking「物事考え方」であり、スキルとしては、創造性と革新性、批判的思考、課題の解決、方針の決定、など、
 
次に二つ目の領域は、Tool for Working「働くためのツール」として、情報リテラシーやICTリテラシーを持ち合わせていること、
 
三つ目の領域のWays of Working「働く姿勢」のスキルでは、コミュニケーションとチームワークの形成,
 
最後の四つ目の領域、Ways of living in the world「世界で生きる姿勢」では、地域と国際社会双方での市民性の享受、人生観とキャリア形成、そして文化的差異についての見識を持つとともに、適応能力を含む個人としての責任感と社会的責任感の醸成、があげられています。

 このように見てきますと、おぼろげながら、21世紀を生き抜くためのグローバル化における人材育成がどのようなものか判断できていくのではないでしょうか?本日私がお話ししただけではなかなか理解できないかもしれませんが、今日の内容はHPに掲載しておきますので、ぜひ読み返しておいてください。

 本学では、品川キャンパスにある、海洋生命科学部と海洋資源環境学部においては、TOEIC600点以上という4年次進級要件を設けるとともに、グローバルなキャリア形成に関する講義や、学内で「海外探検隊」と呼んでいる海外インターンシップを実施しています。一方、越中島キャンパスにある海洋工学部では、「グローバルリーダーシップイニシャチブ(GLI)プログラム」を実施するとともに、大学院では英語による授業を設けており、これらの科目は、語学力やコミュニケーション能力、チャレンジ精神、異文化に対する理解や日本人のアイデンティティーを育てるうえで有効であり、21世紀型スキルとも一致しています。
 
私自身、30代半ばに博士研究員としてカナダに滞在していた折、異文化に接して始めて、日本の文化との比較を自然に自問自答していたこと、また、日本の文化をよく理解していなかったために、自分の考えを相手に十分伝えきれなかったこと、などが思い出されます。そのような意味でも若い時に外国を経験しておくことはとても重要で、その後の人生観や日本人としてのアイデンティティーを形成するうえで大変役立つと思います。

 話は変わりますが、本学では、学部学生・大学院生、卒業生や各種卒業生団体、サークル、大学の教職員、短期留学生さらには在校生の父母等の保護者を含めた、「オール海洋大」で構成する「校友会」をこの4月に設立しました。これにより、大学への支援体制の強化を図るとともに、新たな協働・連携システムを構築し、グローバル化の推進や地域との連携、産官学連携の推進など、海洋の未来を拓く道筋を校友会構成員と共有していきたいと考えております。

 本日ここにご入学・ご進学された皆さん、本学が掲げる理念や人材育成の目標を念頭に置き、教育研究上の目的を達成するための教育プログラムに従って、確実に学んでください。その結果、培った実力に裏付けられた物事に動じない強い精神力と、自信を持った社会人として21世紀を生き抜く人材になることができると信じております。そして、多くのかけがえのない友人を得、社会で必要とされる知識とともに、豊かな先見性や想像力を持って未来に挑戦し、活躍できる資質、をこの本学で備えられることを祈念して、入学式の式辞といたします。                       

平成30年4月6日
東京海洋大学長
竹 内 俊 郎

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