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平成31年度東京海洋大学入学式における学長式辞

平成31年度4月期
東京海洋大学入学式における学長式辞

 

 本日ここに集われた学部・水産専攻科・大学院への入学・進学生の皆さん、また、既に日本郵船、商船三井、川崎汽船などの各商船や海技教育機構の帆船海王丸にてオーストラリアへの出港準備中の乗船実習科の皆さん、ご入学・ご進学おめでとうございます。また、これまで親身になって皆さんを支えてこられた、ご家族など保護者の皆様におかれましても、さぞお喜びのことと存じます。今年は元号が「平成」から「令和」に変わる年です。皆様にとって忘れられない年になることでしょう。

 本日はご来賓として、旧東京水産大学卒業生で、前防衛大臣でもありました小野寺五典衆議院議員、本学同窓会の楽水会会長で本学名誉博士の田畑日出男様、同じく本学同窓会海洋会会長で経営協議会委員の山本 勝様、独立行政法人海技教育機構の野崎哲一様、をはじめ本学経営協議会委員や名誉教授の方々にもご臨席いただいております。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。小野寺五典議員並びに森 栄経営協議会委員には後ほど、ご祝辞を賜りたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 この良き日にあたり、列席している本学教職員一同とともに心からお祝い申し上げ、ここで、一言私からお祝いの言葉を述べさせていただきます。

 本学は、旧東京商船大学と旧東京水産大学が2003年10月に統合した大学であり、両大学はいずれも設立以来130年を超える歴史と伝統を兼ね備えた大学です。旧東京商船大学の前身である私立三菱商船学校は三菱財閥を創業した岩崎弥太郎が設立したもので、その後、官立に移行し、東京商船学校、高等商船学校などに名称を変更後、1957年「東京商船大学」になり、今年で144年目を迎えました。一方、旧東京水産大学は、大日本水産会が水産伝習所として設立し、その後、農商務省水産講習所と名称を変更後、1949年に大学制度改革により「東京水産大学」となり、昨年130周年を迎えました。このように、本学は両大学の伝統のみならず、個性と特徴を継承すると共に、国内唯一の海洋系大学として「海を知り、海を守り、海を利用する:Voices from the ocean」をモットーに教育・研究を行い、我が国が海洋立国として発展していく、中心拠点としての役割を果たすべく、努力しております。

 ここで、本学が2015年に公表しました、「ビジョン2027-海洋の未来を拓くために-」について少しお話しします。本ビジョンは、海洋国家である日本にとって、今後ますます重要性を増す海洋に関する学術分野の教育・研究の拠点となり、その水準と独創性をもって、国内外で高い評価を受ける大学へと進化発展し、明日の海洋分野を担う新たな産業を創造する人材を育成するとの決意のもと、海洋の未来を拓くトップランナーとしてその実現を図るため、中長期的な方向性の共有を目指して作成したものです。これまで3年にわたり毎年検証を行った結果、計画通り実行できた項目があるものの、今後修正すべき点や重複もあったこと、また、2030年に向けた国連の持続可能な開発目標(SDGs)への対応や、昨年閣議決定された第3期海洋基本計画の内容を加味すべきであること等に鑑み、このほど「ビジョン2027バージョン2」のアクションプランを作成しました。本日皆様にお配りしておりますので、後程ご覧いただければと存じます。本ビジョンを遂行するためには、教職員、学生、同窓生の一人一人の積極的な協力が必要不可欠であることはもちろん、保護者の皆様方におかれましても、温かいご支援、ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。

 さて、日本には4年制の国公私立大学が780校ほどありますが、その中から、皆さんがこの「国立大学法人東京海洋大学」に入学されたことに対してお礼申し上げます。3年前(2016年)、イギリスの高等教育機関情報誌であるタイムズハイヤーエデュケーション(THE)が発表した「小規模大学世界ランキング」において、本学は世界の第20位に入ったことから、小さな大学、tiny universityの合成語"#tinyversity"というロゴを頂きました。このことからもわかるように、本学は、規模は小さいが世界のトップクラスに位置する、いわば「山椒は小粒でもピリリと辛い」と言うたとえがまさにぴったりの質が高く、面倒見の良い大学です。また、先週公表された「世界大学ランキング日本版」において、国公私立大学全体で第32位、国立大学では第24位にランク付けされました。本学に入学・進学された皆さん、本学の学生であることに誇りを持ち、有意義な大学生活を過ごしていただければと思います。

 皆さんは本日このように入学式を迎えられたわけですが、私が50年前に本学の前身である旧東京水産大学に入学した時には、入学式はありませんでした。皆さんにはたぶん想像できないかと思います。今でも時々テレビで放映される当時の映像をご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。いわゆる「大学紛争」が多くの大学で起き、機動隊が全共闘及び新左翼の学生により封鎖されていた東大の安田講堂を解除するまで続きました。旧東京水産大学は、入学試験は行われたのですが、その後ロックアウトされ、学生は大学構内に入れない状態が続きました。もちろん授業が行われるわけがなく、夏が過ぎ、ようやく10月になり、ささやかな開講式が行われ、授業が始まりました。私にとっては大きな人生の転換の年だと思っています。

 皆さんの中には、本学を第一志望で入ってこられた方や、そうではない方もいらっしゃると思いますが、入学したからには自身の行動に責任を持ってほしいと思います。私は入学した当初、「水産」について全くと言ってよいほど知識がありませんでした。そこで、「水産とは何か」、「水産学とは何か」について、自問自答し、一から勉強することにしました。この経験が、その後の私の生き方に大きな示唆を与えてくれました。皆さんは、水産・海事・海洋についてどのぐらいご存知ですか?本学は広く海洋に特化した国立大学であるとともに、海洋について総合的に学べる国内唯一の大学であり、世界的に見てもトップクラスの一角を占めている大学である、といっても過言ではありません。皆さんが求めれば多くのことが得られる環境も備わっています。

 しかしながら、本学の1年間の予算は約85億円しかなく、そのうちの55億円近くが国からの運営費交付金といわれている、いわゆる国民の税金で賄われています。そのことを理解し、無駄のないように、しっかり授業を受け、実験・実習・演習などには必ず参加し、できる限り多くのことを身に付けてください。私が言うのも憚られますが、こんなに素晴らしい入学式が行われ、入学後には様々なカリキュラムの下、しっかりとした教育と研究の"場"が設けられ、有意義な"時"が過ごせるのですから、皆さんには、世の中のために役立つ人間になって欲しいと思います。都心にありながら、恵まれた環境の下にいることを忘れないでください。一生懸命に勉強し、部活もやり、程よくアルバイトをしながら、大学生活を送ることにより、皆さんにとって素晴らしい人生の礎が必ずや得られることでしょう。

 平成27年度3月期の学位授与式の折に、本学の前身である三菱商船学校を設立した岩崎弥太郎の社員への訓示をご紹介しました。本学のホームページに掲載してありますので、ご覧いただければ幸いです。本日は、本学のもう一つの前身である水産講習所を1906年に卒業された高碕達之助の人生訓をご紹介します。彼は通商産業大臣(現在の経済産業大臣)だった際、日本と中国の友好条約が締結される16年も前の1962年に「日中長期総合貿易に関する覚書」に基づく、いわゆるLT貿易を締結し、日中の懸け橋になられた方です。LTは日中両者の頭文字をとったもので、「T」は彼のイニシャルであります。高碕達之助は、「困難に直面した時は、それを飛び越える全く新しい手を考えることのみが、根本的な打開策となる。そして、そのカギは、まったく新規な頭で、自分の仕事を再検討することから始まる。」と述べています。この訓示は、企業のみならず、皆さんの研究面でも大変重要です。卒論や、大学院における研究において、壁に遭遇することもあるでしょう。そのような時には、常識にとらわれず、一から考え直すことにより、新たな展開が見えてくることと思います。どうぞこの人生訓を忘れないでいてください。

 最後になりますが、本学では、学部学生・大学院生、卒業生や各種卒業生団体、サークル、大学の教職員、短期留学生、さらには在校生の父母等の保護者を含めた、「オール海洋大」で構成する「校友会」を昨年4月に設立しました。これにより、大学への支援体制の強化を図るとともに、新たな協働・連携システムを構築し、グローバル化の推進や地域との連携、産官学金連携の推進など、海洋の未来を拓く道筋を校友会構成員と共有していきたいと考えております。会費は無料です。ぜひ、本学のホームページやパンフレットから、登録・ログインしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 本日ここにご入学・ご進学された皆さん、本学が掲げる理念や人材育成の目標を念頭に置き、教育研究上の目的を達成するための教育プログラムに従って、確実に学んでください。その結果、培った実力に裏付けられた物事に動じない強い精神力と、自信を持った社会人として21世紀を生き抜く人材になることができると信じております。そして、多くのかけがえのない友人を得、社会で必要とされる知識とともに、豊かな先見性や想像力を持って未来に挑戦し、活躍できる資質、をこの本学で備えられることを祈念して、入学式の式辞といたします。

平成31年4月5日
東京海洋大学長
 竹 内 俊 郎

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