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濱田武士准教授が漁業経済学会学会賞を受賞

Last Update : 2013-06-04 16:15

受賞概要

漁業経済学の進歩に貢献する著作に対して贈られる賞。

受賞理由について

時論として書かれた論稿を下敷きにしている部分が多いが、全体として体系的記述となるよう努力した跡が顕著である。現場での取材を旺盛に行った著者の執念に裏打ちされて、漁業者・漁協関係者の息遣いが実感される記述となっており、感銘深い。論旨においても便宜的なところがなく、具体的対象に即して理論を適用・展開し、新たな学問的成果につながる指摘も随所に見られる。漁業経済学の枠を超えて協同組合論、地域経済論、行政学等に対しても少なくない問題提起となっており、重要な大震災関連文献として後世に残る著作と言える。知的影響力の大きな出版社から刊行され、多数の中央紙(朝日新聞、読売新聞)・地方紙(共同通信社配信先多数、北海道新聞、東京新聞など)で書評の対象となっており、漁業に対する一般の理解を深めることにも寄与している。大震災が漁業に対して提起した問題の全体を真摯に受け止めた知的記録として、学会賞選考委員会において満場一致で授賞が決定された。

受賞研究(著書)のタイトル

『漁業と震災』(みすず書房)

著者

濱田武士(東京海洋大学大学院海洋科学系海洋政策文化学部門)

受賞対象となった研究(書籍)の内容

東日本大震災で東北・常磐の漁業集落は壊滅的状態となった。
漁業にとってこの震災は「天災」、原発事故のような「人災」、そしてメディアや風評被害など情報が破壊的な力をもった「第二の人災」からなる複合災害であった。
政権内では「農地・漁港の集約化」をめざす「食糧基地構想」が浮上し、漁業権を民間会社に直接免許する「水産特区」も法制化された。宮城県は行政主導で漁港整備に選択と集中をかかげ、岩手県は全漁港の復旧を現場に託す。福島・茨城県の漁民は原発災害の対応に苦しんでいる。
高齢化、魚資源の減少、輸入水産物との競合。放射能の海洋汚染、TPP交渉。漁業は困難な時にある。かつて木材の輸入自由化で林業が衰退、山林が荒れたように、生産活動を行いつつ自然を守ってきた漁業集落が壊れれば、浜と海は荒れるだろう。
漁民が「自治・参加・責任」の精神で漁場を共同管理する近世からの伝統は、戦後は漁業協同組合(漁協)に受け継がれた。いま、「協同」の力がふたたび問われている。
多様な個性を備えた暮らす人、働く人の「人格」の復興がなければ地域の再生はありえない。成熟した社会としての安定もない。経済一辺倒の現代社会に「人間のなりわい」をとり戻すためにはどうしたらよいか、漁業経済学者が考え抜いた。
(みすず書房書誌情報文より)

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