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橋濱史典助教 (東京海洋大学大学院・海洋科学技術研究科) が日本海洋学会日高論文賞を受賞

Last Update : 2015-04-03 14:24

受賞概要

日本海洋学会日高論文賞は、学会定期刊行物に選考年度の前2年の間に発表された論文のなかから優秀な論文 (2編以内) が選ばれ、その筆頭著者に授けられます。このたび、橋濱史典助教 (東京海洋大学大学院・海洋科学技術研究科) が受賞することとなりました。

受賞論文

Fuminori Hashihama, Shinko Kinouchi, Shuhei Suwa, Masahiro Suzumura, Jota Kanda (2013):-Sensitive determination of enzymatically labile dissolved organic phosphorus and its vertical profiles in the oligotrophic western North Pacific and East China Sea. -Journal of Oceanography, 69 (3), 357-367. -

受賞者

橋濱史典助教(東京海洋大学大学院・海洋科学技術研究科)

日本海洋学会長による推薦理由(活動内容)

貧栄養海域では,無機態リンであるリン酸塩に加え,有機態リンが基礎生産に重要な働きをしていることが従来から予測されてきたが,有機態リンの中で生物に使われやすい画分である易分解性溶存有機態リン (LDOP) の濃度はナノモルレベルであり,これを正確に測定する技術が確立されていなかったため,有機態リンの利用に関して定量的な議論を行うことは非常に難しかった.本論文は,アルカリフォスファターゼにより溶存有機態リン (DOP) を酵素的に分解し,遊離したリン酸塩を長光路キャピラリーセルを用いた吸光光度法で測定することにより,LDOPを高感度で分析する手法を確立した.さらにこれを実海域に応用することにより,夏季の西部北太平洋と東シナ海におけるLDOPの鉛直分布を明らかにした.観測されたLDOPは混合層から亜表層クロロフィル極大層にかけて枯渇し,それ以深において増加するというリン酸塩と共通の鉛直分布パターンを持っており,LDOPがこれらの海域・季節においてリン酸と同様に利用されているという従前からの仮説が極めて蓋然性の高いものであることを強力に示している.このことはまた,今後亜熱帯域の生物生産や生物地球化学を考える際には,もはやリン酸塩の観測だけでは不十分であることも同時に示しており,亜熱帯域におけるリン観測のパラダイムを変えるだけのインパクトを持った論文であると言える.

分析法の開発にあたっては細部まで検討が加えられており,開発された測定法の信頼性も極めて高い.実海域への適応結果については,この方法を用いた最初のデータということもあり,まだ粗い解析しかできていない状況ではあるが,その段階でも既に十分なインパクトを持った成果を提示できており,貧栄養海域におけるリン循環や生物生産を考える上での重要な進歩を記した論文として評価できる.

以上の理由から,本論文の内容は日高論文賞にふさわしい優れたものであると認め,その筆頭著者である橋濱史典会員を受賞候補者として推薦する.

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