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中村玄助教が日仏海洋学会論文賞を受賞
Last Update : 2017-09-11 09:56
中村玄助教(海洋環境学部門、鯨類学研究室)が、6月10日に開催された2017年度日仏海洋学会総会において日仏海洋学会論文賞を受賞しました。賞についての詳細はこちらをご覧ください。
受賞研究
北太平洋産ミンククジラの頭骨頭頂部形態の多様性および頭頂間骨の発見
Presence of an interparietal bone and morphological variation in the vertex of the skull in North Pacific common minke whale. La mer 54(2)1-10.
受賞者(共著者)
高橋萌(東京海洋大学 海洋科学技術研究科 博士後期課程3年・一般財団法人日本鯨類研究所 研究員)
廣瀬亜由美(東京海洋大学 海洋科学技術研究科 博士後期課程3年)
林凌太郎(東京海洋大学OB)
藤瀬良弘(一般財団法人日本鯨類研究所 理事長)
宮川尚子(東京海洋大学OG・現:千葉県立中央博物館 学芸員)
井上聡子(東京海洋大学OG・現:一般財団法人日本鯨類研究所 研究員)
加藤秀弘(東京海洋大学 海洋科学技術研究科 教授)
受賞研究の内容
ヒゲクジラ亜目に属する鯨類において頭骨頭頂部の形態は極めて重要な分類形質として位置付けられてきた。しかし、これまでの研究報告は実施の困難さから数個体程度と極めて限定的な標本に基づきなされたものであり、性差や個体差などが十分に考慮されないまま、種の特徴として記載されてきた。
本研究では主に鯨類捕獲調査によって得られた100個体を超える北太平洋産ミンククジラの標本を対象として、頭骨頭頂部の形態学的特徴を明らかにすることを目的として分析をおこなった。その結果、これまで種の特徴として記載されてきた内容の多くは個体差であることが示された。
一方で、前上顎骨と上顎骨後端の位置関係など、全ての個体に共通した普遍的な特徴も多く見いだされ、ミンククジラの形態学的特徴を明らかにした。さらにこれまで、北太平洋産ミンククジラにはないとされていた頭頂間骨と呼ばれる骨も全個体から観察されたことから、本種が頭頂間骨を有していることを初めて示した。
中村玄助教(写真右)と日仏海洋学会小松会長(写真左)