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今泉健太郎氏( 博士前期課程 海洋生命資源科学専攻2年)が第6回アジアにおける生け簀養殖に関する国際シンポジウムで学生最優秀ポスター賞を受賞

Last Update : 2018-10-30 09:56

受賞概要

平成30年10月12-15日にタイのスラタニ ーで開催された第6回アジアにおける生け簀養殖に関する国際シンポジウムにおいて学生最優秀ポスター賞を受賞しました。

受賞者(共著者)

今泉健太郎     (東京海洋大学大学院 海洋科学技術研究科 博士前期課程 海洋生命資源科学専攻2年)
Sasiwipa Tinwongger (東京海洋大学大学院 海洋科学技術研究科 博士後期課程 応用生命科学専攻3年)
近藤秀裕      (東京海洋大学 学術研究院 海洋生物資源学部門 教授)
廣野育生      (東京海洋大学 学術研究院 海洋生物資源学部門 教授)

賞の名称

The 6th International Symposium on Cage Aquaculture in Asia 2018(第6回アジアにおける生け簀養殖に関する国際シンポジウム)学生最優秀ポスター賞

受賞研究

Effect of Bacillus amyloliquefaciens TOA5001 as a potential probiotic on whiteleg shrimp (Litopenaeus vannamei)

受賞研究の内容 

 感染症は、エビ養殖における重大な問題のひとつである。近年では急性肝膵臓壊死病 (AHPND)と呼ばれる細菌病が拡大し、エビ養殖に甚大な被害を及ぼしている。バチルス属細菌は、クルマエビ類におけるプロバイオティクスとしてのはたらきを有することが示唆されており、感染症の防除を目的としての利用が期待されている。
 本研究では、Bacillus amyloliquefaciens TOA5001株(東亜薬品工業株式会社)投与によるバナメイエビにおけるAHPND防除効果の評価を行った。寒天培地上における交差画線試験の結果から、TOA5001株はVibrio parahaemolyticus AHPND原因株の発育を抑制する物質を産生することがわかった。TOA5001株の芽胞を含む製剤を終濃度5×106(芽胞数)/gとなるよう市販の餌料と混和してバナメイエビに給餌し、2週間および4週間後にV. parahaemolyticus AHPND原因株による攻撃試験を行った。
 また、TOA5001株を含む餌料および通常の餌料を投与して2週間飼育したバナメイエビの肝膵臓におけるマイクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現解析を行うとともに、腸管における細菌叢を16S rRNA遺伝子を標的としたメタゲノム解析によって比較した。TOA5001株を投与したバナメイエビの生残率は、2週間および4週間の投与期間のいずれにおいても通常の餌料を与えたコントロール区と比較して顕著に高かったが、マイクロアレイ解析の結果からは肝膵臓における免疫関連遺伝子のmRNA蓄積量に試験区間の有意な差は認められなかった。腸内細菌の比較では、複数のOperational taxonomic unit (OTU) の存在量に差が認められ、TOA5001株の投与によってバナメイエビ腸内細菌叢に影響が及ぼされたと考えられた。
 以上より、バナメイエビにおけるTOA5001株の投与は、バナメイエビの免疫系ではなく、腸管内環境に影響を与えることによってAHPND防除に寄与していることが示唆された。TOA5001株の宿主に及ぼす影響とそのメカニズムを明らかにするために、さらなる研究が望まれる。

今泉健太郎氏国際シンポジウムで学生最優秀ポスター賞を受賞

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