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トカラ海峡の海山上を流れる黒潮で100kmにわたる通常の100-1000倍の強さの乱流を発見!
Last Update : 2021-09-06 14:28
令和3年8月23日にSpringer NatureのCommunications earth & environmentから出版された海洋環境科学部門 長井 健容 准教授らの論文は、トカラ海峡の海山上を流れる黒潮に沿って周辺の海洋内部に比べて100-1000倍程度の乱流が100 km程度に渡って海山下流方向に広がっていることを初めて示した。
この生成域から100 kmにわたって広がる乱流混合は、従来の海洋内部の乱流の理論では説明できない。これまで、海洋内部の乱流混合は、海洋内部を伝わる波:内部波の鉛直的な流速勾配によって生成されるとされてきた。しかし、今回の黒潮に沿った100km続く乱流は、黒潮の流れを1m毎秒とすると1日間続くことを意味し、なぜ海山を黒潮が流れ過ぎた後でも、長い間強い乱流が維持されているかは、従来の知見からは説明できない。
今回の研究代表者らの観測によって、黒潮が海山斜面で大きな水平流速勾配を生成し、そこからサブメソスケール(数100mから数km)不安定現象を発生させてこの著しく強い乱流を長い間維持していることが明らかとなった。
トカラ海峡の海山上を流れる黒潮で100kmにわたる通常の100-1000倍の強さの乱流を発見!
かごしま丸での観測(中央:長井准教授)
観測に参加した学生たち