国立大学法人 東京海洋大学

品川・越中島キャンパス大学院海洋科学技術研究科

大学院海洋科学技術研究科は、博士前期課程と博士後期課程の区分制博士課程とし、先端領域を切り拓く自立した高度専門職業人等を養成します。さらに、国立研究開発法人水産研究・教育機構、国立研究開発法人海洋研究開発機構、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所と連携して、教育研究の一層の充実と大学院生の資質向上を図っています。

【受賞・表彰】宝迫美央さん(修士1年)が、2025年度日本海洋学会秋季大会において若手優秀発表賞を受賞しました。

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2025年9月21日~25日に北海道大学函館キャンパスで開催された、2025年度日本海洋学会秋季大会において、本学大学院生の宝迫美央さんが若手優秀発表賞を受賞しました。日本海洋学会秋季大会では107件の若手(※)の研究発表があり、うち9件が若手優秀発表賞として表彰されました。
※2025年9月末日時点で30歳未満または博士の学位取得後3年未満の学生会員または若手通常会員

【受賞者】
宝迫 美央(大学院海洋科学技術研究科 海洋資源環境学専攻 博士前期課程1年)

【受賞研究のタイトル】
線形的に安定および不安定な傾圧渦の非線形挙動
~黒潮大蛇行終焉、遠州灘海洋熱波の準周期性の解釈の試み~
宝迫美央・島田浩二

【受賞研究の内容】
200~300kmの水平空間スケールをもつ黒潮大蛇行冷水渦を、2つの渦位フロントで表される傾圧渦に単純化し、擾乱が与えられた場合の渦の挙動について調べた。まず線形安定性についての理論解析により、線形不安定となるのは、観測される黒潮大蛇行冷水渦の水平空間スケールの範囲においては、波数2の擾乱の場合のみであり、波数3以上の擾乱の場合には安定であることが分かった。次に、線形不安定な波数2のケースについて、その非線形発展をコンター・ダイナミクス法を用いた数値計算で調べたところ、渦が分裂し、2つの傾圧渦が形成され、黒潮大蛇行終焉の要因の1つであることを示した。また、分裂後の2つの傾圧渦の空間スケールは小さく、あらゆる波数の擾乱が加わっても安定であることが分かった。さらに、線形的に安定な波数3の大振幅擾乱を与えた場合、擾乱の振幅は振動しつつ、波数3の状態は保ちながら、形状回転することが分かった。つまり、ある固定点で観測すれば、擾乱の峰(冷たい部分)-谷(温かい部分)が周期的に観測されることになる。このような渦の挙動により、黒潮大蛇行期間に遠州灘で観測された海洋熱波の準周期性が解釈できることを示した。

<関連リンク>
日本海洋学会 2025年度秋季大会
日本海洋学会 若手優秀発表賞

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