国立大学法人 東京海洋大学

品川・越中島キャンパス大学院海洋科学技術研究科

大学院海洋科学技術研究科は、博士前期課程と博士後期課程の区分制博士課程とし、先端領域を切り拓く自立した高度専門職業人等を養成します。さらに、国立研究開発法人水産研究・教育機構、国立研究開発法人海洋研究開発機構、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所と連携して、教育研究の一層の充実と大学院生の資質向上を図っています。

【受賞・表彰】本学大学院生のチームが「学生安全技術デザインコンペティション国際大会」で優勝しました

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 令和543日~6日まで横浜で開催された、「第27回自動車安全技術に関する世界会議」の中の学生参加プログラム「学生安全技術デザインコンペティション」にて、大学院海洋科学技術研究科の学生チームが優勝しました。
 

【 受賞者 】
チーム名「Team D3DCG
于凱倫 Yu Kailun(東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科 博士後期課程 応用環境システム学専攻3年)
徐姗 Xu Shan(東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科 博士後期課程 応用環境システム学専攻3年)
小野寺望鈴(東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科 博士前期課程 海運ロジスティクス専攻1年)

【 受賞研究のタイトル】
三次元重心検知理論に基づく横転防止最速自動コーナリング

【受賞概要】
 大学院海洋科学技術研究科の学生チームが「2023年学生安全技術デザインコンペティション」の日本大会決勝(主催:国土交通省)を経て、令和5年4月3日~6日まで横浜で開催された、国際大会(主催:米国運輸省道路交通安全局、国土交通省、経済産業省)に日本代表として出場し、優勝しました。
 本コンペティションは、自動車の安全技術に関する「ESV国際会議」において学生が参加するプログラムの1つです。各大学・大学院の学生チームが、独自に考案した安全問題解決のための 技術アイデアを発表し、その斬新さや発展性、実用性などを競うものです。発表はスケールモデルを用いて行うため、アイデアだけでなく技術的な裏付けや十分な検証が要求されます。

【受賞研究の内容】
 これまで、三次元重心検知理論は、横転の危険性を数値化して運転手に表示・通知するにとどまっていました。今回、この理論を自動運転と結び付けたスケールモデルを作成しました。そして、このモデルをリモートコントロールで自動走行させ、コーナリング周回中に速度を上げてゆくとともにリアルタイムで三次元重心検知理論を適用して、いち早く横転限界加速度を推定しました。そして、同じくリアルタイムに車両の重心に加わる遠心力(業界では横Gとも言います)を計測して横転限界加速度と比較しました。そして、横Gが横転限界加速度に到達しそうになったら減速し、横転を防げたら再び加速する、ということを繰り返すプログラムを構築しました。このシステムによって、当該スケールモデルは、横転しそうでぎりぎり横転しない最速の速度で周回コーナリングをいつまでも続けました。さらに、実際に理論が正しいことを証明するために、上記の状態で自動運転を解除し手動運転で速度を少し上昇させると、スケールモデルの車両は、瞬く間に横転しました。これを来場者が実際に試しましたが、結果は同じでした。スケールモデルに積載する貨物の位置は、試す人たちが自由に変えられるようになっています。好き勝手に重心位置を変えてみても、結果は同じで、横転しない最速の状態を維持しました。

【受賞者のコメント】
于凱倫(チームリーダー)
「私たちのチームを率いてキャプテンを務め、ESV学生安全技術デザインコンペティションで優勝できたことを、大変光栄に思います。対戦相手は、ほとんどが欧米の有名な大学のチームであることを知って、母国語が英語ではないのでとても緊張しました。発表者・実演者として、私たちは、研究内容を審査員や聴衆に詳しく紹介するために、多くの練習をしました。優勝したことを知ったときは、とてもうれしかったですが、研究成果には自信がありましたので、あまり驚きはありませんでした。このような成果を達成することができたのは、チーム全員の献身的な努力のおかげであり、深く感謝しています。さらに、渡邉豊先生のご指導とご支援の賜物であることも、忘れてはなりません。私たちの研究成果が、いち早く全世界に実用化されますことを願っています」

徐姗
「これまでの歩みのすべてを振り返ってみると、いろいろと感慨深いです。 日本大会でのファイナリストから世界大会に至るまで、チームワーク、先生方のご指導、専門家の方々のアドバイスがあったからこそ、成功につながったのだと思います。海洋の知識を自動車の安全性向上に活かすことで、新しい技術開発やアプローチが生まれ、より安全な自動車社会の実現に貢献できることを実感しています。最もやりがいを感じたのは、この技術が世界でも魅力だったことに、驚きを感じたことでした。この受賞を頂くまでの長い期間に、私たちを支えてくれました先生方のチームワークとサポートに、深く感謝いたします。今後も、この経験を糧に、自動車安全分野の発展に尽力し続けて行きたいです」

小野寺望鈴
「この度、このようなグローバルな場で、最高の評価をいただき大変光栄に思います。また日本開催である今大会で、日本チーム初優勝を残せたことに誇りを感じております。今まで自分が研究してきた技術に対して、国籍や職種問わず沢山の方に共感やアドバイスをいただき、今後の発展へより一層意欲が沸く貴重な経験ができました」

DSC_0523.pngのサムネイル画像
写真左から)徐姗さん、小野寺望鈴さん、于凱倫さん、渡邉豊教授

<関連リンク>
2023年学生安全技術デザインコンペティション
学生安全技術デザインコンペティション(SSTDC)とは?

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