国立大学法人 東京海洋大学

ABOUT海洋政策文化学科について

昨今、地球規模で海洋環境の悪化と生物資源の枯渇が危惧され、海洋資源の利用をめぐる国際的コンフリクトが激化し、国内では生活・市場等の条件が不利な沿岸地域の存続が懸念されています。

海洋政策文化学科は、海洋・沿岸に関する社会科学・人文科学を学ぶことができるわが国随一の学科であり、国際海洋政策学、海洋利用管理学、統合海洋政策学の三つの専門分野から構成されています。本学科では、まず、基礎的な科学知識、および実践的な語学力を含むゆたかな教養と洞察力を身につけます。これらを土台に、海洋政策・海洋文化に関わる専門知識を学び、さらに実習・調査、討論、発表を通して実践力を磨きます。このようにして、合意形成や問題解決の場を創造するファシリテーション能力を備えた人材を、本学科では育てます。

CLASS4年間で学ぶ授業例

研究・講義紹介

水産調査(2年次科目)
全国各地の漁村や水産都市を訪問し、聞き取り調査を実施します。現場調査を通じて、漁業および水産業の現状や地域コミュニティのあり方についての理解を深め、個々の産業や文化的取り組みに関する課題を考えます。

海洋政策文化セミナーI・II(3年次科目)
卒業論文作成に必要となる能力を習得する訓練を3年次から始めます。専門的な研究に必要な文献・資料の読解や問題把握と解決のための能力、プレゼンテーション・ディスカッション能力を少人数のゼミで鍛えます。

RESEARCH研究紹介

沿岸域資源論

「人と魚と水の関係」から資源について考える
沿岸域資源論は、資源を自然そのものとして捉えるのではなく「人と魚と水の関係」として捉えて、資源の持続的利用とそれによる沿岸地域社会の発展について考究しています。
漁業をはじめ、釣り、ダイビング、ホエール・ウォッチング、環境保護活動等に着目し、それぞれの「人と魚と水の関係」を規定している生物の生態的特徴、人間の価値認識、そして自然−人間−社会の関係を統合的に把握することを重視しています。
研究室での現地調査の風景
(栃木県のミヤコタナゴ保護活動への参加)

国際海洋政策

国際的な海洋問題に対処するための政策を学際的に研究
海洋をめぐる問題は、国際的な性質を有することが多く、国内外で大きな注目を集めています。例えば海洋生物資源の保存と管理、地球温暖化と海洋、海洋環境の汚染、生物多様性の保全などの問題が様々なメディアで取り上げられています。
授業では、これらの問題を多角的に分析し、その背景や原因を理解するとともに、問題の解決に向けて国際社会がどのように取り組むべきかについて考えます。このことは、持続可能な開発目標(SDGs)の14 番目である「海の豊かさを守ろう」という国際目標を達成するために重要です。
国連持続可能な開発会議(2012 年)での海洋をめぐる議論の現場

スポーツ生理学・環境生理学

海洋におけるヒトの活動を人体生理学から支える
素潜りで水深100m 以上潜るエリートダイバーに、近赤外線センサーを装着して潜水中の血液の流れを計測したところ、脳に血液が集まってくる現象が観察されました。この現象は、これまでイルカ等で確認されていましたが、ヒトにおいては世界で初めての発見でした。
このような潜水に関する人体生理学を中心に、高齢化が進む海女の腰痛対策、水中での運動が脳の認知機能や自律神経系に与える影響などについて研究を行っています。
海女を対象とした実験の様子

海洋文学・環境文学

環境と人との関係性を資源とその利用とは異なる文脈へと開く
当研究室では、文学作品に表れる海をはじめとする自然環境をめぐる言説や表象を分析し、人々の想像力の中で自然環境がどのように構築され、どのように時代と関わっているのかなどを研究しています。
海を含むより広い環境や生態系に着目する環境文学批評は、環境に関する政策の立案や提言を行う上で必要な「環境的想像力」の養成に不可欠な視点を与えてくれます。
イングランドの秘境、セルボーン村
(高台からの風景)

CAREER進路・就職

卒業後の進路

就職先

国家公務員総合職・一般職等(農林水産省、水産庁、水産総合研究センター、北海道開発局等)、地方公務員総合職・技術職・教員等(北海道、青森県、岩手県、山形県、福島県、東京都、神奈川県、富山県、滋賀県、山口県、徳島県、高知県、気仙沼市、新庄市等)、大学教職員(東京海洋大学、近畿大学、筑波大学等)、共水連、極洋、漁済連、国分、商船三井客船、新京成電鉄、セブンイレブン・ジャパン、JTB、全水加工連、全漁連、全日本空輸、全農、中央魚類、テレビ新潟、東洋冷蔵、ニチモウ、ニチレイ、日本漁業保険組合、日本航空、ニッスイ、日本政策金融公庫、日本生命保険、野村証券、東日本旅客鉄道、マリンフーズ、マルハニチロ、三井住友海上保険、三菱UFJ 銀行、明治、リクルート、理研ビタミン 等

就職先業種

令和3年度卒業者産業別就職状況(%)
※進学等を除く学部卒業者の実績

POLICYポリシー

ディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)開く

1.卒業認定・学位授与⽅針

海洋政策⽂化学科では、海と⼈との共⽣関係に基づく海洋産業・海洋⽂化の発展とその実現に向けた海洋政策の⽴案を担う⾼い意欲と専⾨知識を持ち、海洋に関わる諸問題を構造的に把握し、解決するための⾏動⼒とグローバルな知⾒を備えた対応⼒を有する⾼度専⾨職業⼈たり得る素養と能⼒を⾝につけた者に学⼠(海洋科学)の学位を授与します。

2.学修成果の到達⽬標

(1)専⾨的学識
 海洋に係わる⾷料問題、資源問題、環境問題、国際問題、地域問題等について、社会・⼈⽂・⾃然科学の専⾨知識をもとに、諸問題を構造的に理解する能⼒を⾝につけている。
(2)豊かな国際性と幅広い教養
 海洋産業・海洋⽂化の発展と海洋政策の⽴案を担う⾼度専⾨職業⼈たり得る国際感覚とコミュニケーション能⼒、その基盤となる幅広い教養、多様な社会・⽂化についての理解⼒と総合的な判断⼒を⾝につけている。
(3)⾃ら考え判断する能⼒
 主体的に課題を設定して探求し、論理的思考と⾼度な倫理観に基づいて適切に判断し、解決に導く⾏動⼒を⾝につけている。
(4)現場で通⽤する実践⼒
 現代社会の抱える地域的・国際的諸課題について、現場で得た知識や経験を活⽤し、物事を幅広い視野から多⾯的にとらえ、海と⼈との共⽣関係に基づく海洋産業・海洋⽂化の発展に向けた海洋政策をグローバルな視点も含めて主導的に⽴案することができる。

カリキュラムポリシー(教育課程編成・実施の方針)開く

1.教育課程を編成するための⽅針

 海洋政策⽂化学科では、以下「2」に挙げる4つの素養と能⼒を⾝につけさせるため、「総合科⽬」、「専⾨導⼊科⽬」、「専⾨科⽬(コア課程科⽬)」、「専⾨科⽬(アドバンスト課程科⽬)」を体系的に編成します。「総合科⽬」では幅広く深い教養と語学⼒を⾝につけさせるとともに、「専⾨導⼊科⽬」では多様化・⾼度化した専⾨分野を理解するために必要となる基礎科学を幅広く学ばせます。また、「専⾨科⽬」を「専⾨科⽬(コア課程科⽬)」と「専⾨科⽬(アドバンスト課程科⽬)」とに区分し、「コア課程課⽬」では本学科の専⾨諸分野の基盤となる知識を学ばせ、「アドバンスト課程科⽬」ではより深い学識を涵養し、専⾨的な能⼒を向上させます。さらには「資格関連科⽬」、「グローバル・キャリア関連科⽬」を設けます。これら授業科⽬を有機的に連関させたカリキュラムに基づく講義・演習・実験及び実習を実施し、国際社会・産業界や⼤学院教育に接続します。

2.教育の内容及び教育の実施⽅法に関する⽅針

授業科⽬区分として、「総合科⽬」、「専⾨導⼊科⽬」、「専⾨科⽬(コア課程科⽬)」、「専⾨科⽬(アドバンスト課程科⽬)」、「資格関連科⽬」、「グローバル・キャリア関連科⽬」を設け、講義、演習、実験及び実習を実施します。
(1)専⾨的学識
 本学科の専⾨諸分野の基盤となる知識と研究⼿法を学科の全ての学⽣に⾝につけさせるため、主に1年次において必修科⽬を実施します。その後、海洋産業・海洋政策系、海洋環境教育・海洋スポーツ系、国際・科学⽂化系の3つの科⽬群の専⾨知識を学ばせるた めの「専⾨科⽬(コア課程科⽬)」を実施します。そして、各科⽬群の専⾨知識をさらに深く学ばせるとともに、状況を⼤局的に把握し諸課題を総合的に理解・判断できる能⼒を獲得させる「専⾨科⽬(アドバンスト課程科⽬)」を設定し、講義・演習・実験及び実習を組織的かつ体系的に実施します。なお、専⾨諸分野の特性によっては、アクティブラーニング等を取り⼊れ、学⽣の能動的な学修を推進します。
(2)豊かな国際性と幅広い教養
 語学⼒を含むコミュニケーション能⼒やプレゼンテーション能⼒、⾼度な国際感覚と教養を⾝につけさせるために、「総合科⽬」を実施するとともに、英語資格試験・留学・キャリア形成それぞれに関連する「グローバル・キャリア関連科⽬」を実施します。また、⾃然科学と数理科学及び⼈⽂・社会科学の基礎知識、基礎的な情報技術を⾝につけさせるために、「専⾨導⼊科⽬」を実施します。さらに、本学科では、豊かな国際性を育む「専⾨科⽬」を実施します。
(3)⾃ら考え判断する能⼒
 論理的思考、適切な判断、社会に対する責任感をもって⾏動する能⼒を⾝につけさせるために、各科⽬群を有機的に連関させた教育を実施します。とりわけ2年次の「専⾨科⽬(コア課程科⽬)」として海洋政策⽂化研究法Ⅰ・Ⅱ、卒業研究科⽬として3年次の海洋政策⽂化セミナーⅠ・Ⅱ、4年次のセミナー、卒業論⽂の系統的な実施を中核に位置づけます。さらに、倫理的な判断を⾏える能⼒を⾝につけさせるために、セミナーの⼀部で研究者倫理に係わる教育を⾏います。
(4)現場で通⽤する実践⼒
 現代社会のグローバル化する諸課題について理解・認識し、主導的に対応できる実践⼒を⾝につけさせるために、海洋をめぐる多様な社会的諸課題について実感をもって理解させ、それぞれの現場に即した解決⽅策を探求するために必須となる実習や演習・実験等の科⽬を実施するとともに、学部における学びの集⼤成と位置づけられるセミナー、卒業論⽂を実施します。 また、国際社会、産業界等の社会への接続を円滑に⾏うために「グローバル・キャリア関連科⽬」を⾏います。

3.学修成果の評価⽅法に関する⽅針

全ての科⽬において、シラバスで科⽬ごとに評価基準を明⽰し、試験、レポート、プレゼンテーション等で学修成果と到達⽬標の達成度を厳格に評価します。

アドミッションポリシー(入学者受入れの方針)開く

1.入学者受け入れ方針

 海洋政策文化学科では、政策的アプローチ、産業的アプローチ、文化的アプローチにより、理論と実践における考察力と実践力を練磨するために、「海・人・社会」の望ましい関係の在り方について幅広く教育・研究する。本学科は、理系・文系の垣根をこえ、海洋政策、海と人との共生に対して積極的な関心を有し、また、法律、経済、人文学、海洋スポーツ、教育など、幅広い分野に興味のある人を求める。

2.求める素養・能力

【専門的学識を修得するための素養・能力】
  •  入学後の学修に必要な幅広い基礎学力を有していること。
【自ら考え判断する能力を修得するための素養・能力】
  • 論理的な思考力を有していること。また、ものごとを多角的に検討できる判断力を有していること。
【豊かな国際性と幅広い教養、現場で通用する実践力を修得するための素養・能力】
  •  自らの考えを的確に伝える表現力を有していること。また、旺盛な学修意欲があり、幅広い視野に立って、新しい課題に積極的に取り組む姿勢を有していること。

3.入学者選抜の基本方針、評価方法

【入学者選抜の基本方針】

本学科での教育を受けるうえで必要な素養・能力を判定するために、以下の選抜を行う。

一般選抜(前期日程・後期日程)

 一般選抜(前期日程)では、基礎学力とともに、論理的思考にもとづいて適切に文章を読解・作成する能力を身に着けている人を選抜するために、大学入学共通テスト及び個別学力検査(数学または理科の1科目選択、及び小論文)の総合点で判定する。一般選抜(後期日程)では、基礎学力とともに、論理的思考にもとづいて適切に文章を読解・作成する能力を身につけている人を選抜するために、大学入学共通テスト(3教科3科目)及び個別学力検査(小論文)の総合点で判定する。

総合型選抜(A、B、C、E)

小論文、口頭試問(総合型選抜Bのみ)、聴講論文、個人面接、志望理由書及び調査書を通じて学科の学問領域に対する関心、学ぶ意欲、学ぶために必要な学力等を評価する。

学校推薦型選抜(A)

大学入学共通テスト、調査書、志望理由書及び資格・業績書を通じて学科の学問領域に対する関心、学ぶ意欲、学ぶために必要な学力等を評価する。

私費外国人留学生特別入試

個別学力検査、面接、日本留学試験の成績、志望理由書及び成績証明書を通じて学科の学問領域に対する関心、学ぶ意欲、学ぶために必要な学力等を評価する。