国立大学法人 東京海洋大学

海事システム工学科のご紹介

ABOUT海事システム工学科について

海事システム工学科は、リーダーシップ能力とグローバル化対応能力を持つ次世代の海事技術者の育成をめざした、船舶管理、海事工学に関する教育を行います。船舶職員をめざす学生のためには実践的な教育プログラムも用意し、学科伝統の全人教育を実習や実験演習を通して行います。

CLASS研究領域・コースツリー

研究・講義紹介

船舶実験Ⅰ(実習)
学内練習船に乗船し、船舶運航の基礎、各種航海計器の操作法、気象海象が操船に及ぼす影響、保安応急対応に関する知識、さらには船上作業に欠かせない協調性やリーダーシップの習得を目指します。

船舶制御(講義)
航海士の操船方法とかけ離れた自動操船は、利用者に不安を与えてしまいます。
講義では、様々な局面における操船方法を解説したうえで、自動操船システムの設計についてMATLABでシミュレーションしながら学んでいきます。

RESEARCH研究紹介

海洋文化学

SDG14 海の豊かさを守ろう
海と日本との深い精神的なつながりは、世界最古の縄文丸木舟の発掘や、安土桃山期前後における多くのすぐれた日本人船員のアジアの海での活躍というような歴史的な事実により証明されてきています。瀬戸内の塩飽水軍の伝統は、明治以降の日本商船隊にも広く受け継がれました。他方、外国にはその地域ごとに固有な文化があり、それを理解することなしに、例えば、それぞれの海域独自の背景をもつ海賊事象などを抜本的に解決するということは不可能です。
海をめぐる国際情勢はますます複雑化してきており、「国連海洋法条約」や「船舶と港湾施設の保安のための国際コード(ISPSコード)」、「水中文化遺産保護条約」その他の国際法が果たす役割も日々高まってきています。こうした中、国連とユネスコは2021 年から2030 年までを「国連海洋科学の10 年」に定めました。「SDG14 海の豊かさを守ろう」を中心に、「SDG13 気候変動に具体的な対策を」などへの対応が始まっています。
SDGs へ取り組み
(ICOMOS:Heritage & theSDGs)

自己位置推定

ロバストな位置推定に関する研究
将来の自動操船支援に必要となるロバストな自己位置推定に関する研究開発を行っています。GNSS は世界中でメートル級の位置を取得できる便利なものですが、干渉等に弱く屋外の開けた場所が前提となります。自動操船では信頼性へのハードルが高いため、GNSS のみに頼らない自己位置推定方法を幅広く研究しています。廉価なIMU とGNSS の統合やカメラやLidar を利用したものです。屋外の開けた場所であればGNSS でcm 級の位置及び速度推定が可能であり、IMU やドップラソナーを併用することで着桟時に操船者への負担を減らすための研究及び実験を行っています。また、河川を含めた自動操船を鑑みて、高架下等でもロバストな位置推定を行うためにLidar やカメラによる精密地図生成や自己位置推定の研究及び実験を行っています。
複数の研究室の得意な領域を持ち寄り、より堅牢なアルゴリズムを開発しています。
GNSS/IMU を利用した自動着桟支援実験

航海システム論

船舶航行データを運航支援に関する研究
運航支援システムの目的の一つが船舶の衝突リスクを小さくすることです。操縦性能・大きさが異なる様々な船舶が航行する東京湾では、航行規則による船舶交通流の整流や航行管理により大型船同士が近づくことを避けさせることで衝突の発生回数を減らしています。しかし経済活動や気象海象の変化、海洋土木工事による航行海域の制限や工事に関わる特殊な船の航行隻数増加により船舶の交通流が変化することで潜在的な危険が新たに発生しているかもしれません。一方、情報通信技術の発達による新しいシステムが開発・装備されることにより船舶同士もしくは陸上の監視局でも船舶動静を把握しやすくなったことから様々な海域にて長期間の船舶航行データの蓄積が可能となりました。 ここでは蓄積される情報を基に海上交通の特性を理解し新しいシステムの利点を活用した衝突リスクの減少、効率的な運航支援に関する研究を進めています。
レーダによる船舶動静の計測

CAREER進路・就職

卒業後の進路

就職先

飯野海運、出光タンカー、NS ユナイテッド海運、NTT コミュニケーションズ、NTT データウェーブ、NTT データフィナンシャルテクノロジー、NTTワールドエンジニアリングマリン、海技教育機構、海上保安庁、鹿児島海運、川崎汽船、川崎近海汽船、共栄タンカー、光電製作所、航空自衛隊、国土交通省、山九、ENEOS オーシャン、ジャパンマリンユナイテッド、商船三井、商船三井客船、新来島どっく、新日本海フェリー、全日本空輸、ダイトーコーポレーション、東洋エンジニアリング、東洋信号通信社、田淵海運、中央システム、日本海事協会、日本海事検定協会、日本海難防止協会、日本海洋掘削、日本テレビ、日本郵船、日立情報通信エンジニアリング、ロジスティード、ビューロベリタス(フランス船級協会)、ユニバーサルコムピューターシステム 等

就職先業種

令和3 年度卒業者産業別就職状況(%)
※進学等を除く学部卒業者の実績

POLICYポリシー

ディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)開く

1.卒業認定・学位授与⽅針

 海事システム⼯学科においては、船舶の運航管理及び保守管理、海事関連の機器・装置・システムの設計・開発、港湾・航路の設計・管理も含めた海事技術に関する問題に関⼼を持ち、専⾨的知識を含む幅広い教養と豊かな⼈間性とともに、課題の理解と解決に必要な⾼度な技術、国際的にも活躍できる能⼒を⾝に付けた者に学⼠(⼯学)の学位を授与する。

2.学修成果の到達⽬標

(1)幅広い視野・⽂化的素養
 (学修成果)国際交流の基盤となる幅広い視野・能⼒と⽂化的素養を⾝に付けている。
 (到達指標)国際交流の基盤となる幅広い視野・能⼒と⽂化的素養に関する幅広い総合科⽬、専⾨導⼊科⽬を修得していること。
(2)コミュニケーション能⼒
 (学修成果)技術者として必要となる幅広い教養と国際的視野に裏打されたコミュニケーション能⼒を⾝に付けている。
 (到達指標)必要な情報を収集し発信することのできる多様なコミュニケーション能⼒を修得していること。実験、実習、演習のレポート作成、卒業論⽂の作成、卒業論⽂発表において⼗分な評価を得ること。
(3)専⾨的知識・問題解決能⼒
 (学修成果)船舶の運航管理及び保守管理、海事関連の機器・装置・システムの設計・開発、港湾・航路の設計・管理も含めた海事技術に関する専⾨的な知識を持ち、それらを活⽤して問題解決する能⼒を⾝に付けている。
 (到達指標)基礎から応⽤まで、専⾨導⼊科⽬、専⾨科⽬を体系的に履修し、幅広い専⾨知識を⼗分に修得していること。問題発⾒・解決⼒や創造⼒を育成できる、実験、実習、演習、卒業研究の科⽬を修得していること。
(4)実践的指導⼒・リーダーシップ
 (学修成果)社会のリーダーとして求められる実践的指導⼒、リーダーシップを⾝に付けている。
 (到達指標)集団の中で指導⼒、統率⼒を発揮できる能⼒、リーダーシップを育成できる、実験、実習、演習、卒業研究の科⽬を修得していること。実験、実習、演習のレポート作成、卒業論⽂の作成、卒業論⽂発表において⼗分な評価を得ること。
(5)⾃ら判断・⾏動できる能⼒
 (学修成果)課題に対して進んで取り組み、論理的に考え、的確な判断及び⾏動ができる能⼒を⾝に付けている。
 (到達指標)⾃ら判断し⾏動できる能⼒を育成できる、実験、実習、演習、卒業研究の科⽬を修得していること。

カリキュラムポリシー(教育課程編成・実施の方針)開く

1.教育課程を編成・実施するための⽅針

 海事システム⼯学科では、卒業認定・学位授与⽅針(ディプロマ・ポリシー)に掲げる5つの能⼒を学修するため、⽂化学系、哲学・科学論系、社会科学系、外国語系及び健康・スポーツ系からなる総合科⽬、数学系、物理系、化学系、情報系及び多様な外国語系からなる専⾨導⼊科⽬、専⾨科⽬の学修を体系的に編成する。三級海技⼠(航海)の資格取得を可能にするためのカリキュラムもあわせて編成する。
・学年を通じて、幅広い教養と豊かな⼈間性と、⾼度な技術、国際的にも活躍できる能⼒を⾝に付けるための学修を実施する。
・特に1年次においては、総合科⽬、専⾨導⼊科⽬を基盤とした学修を実施する。また、⼤学教育にスムーズに⼊れるよう、初年次導⼊科⽬の学修も実施する。
・特に2年次から3年次においては、専⾨導⼊科⽬を中⼼とした学修から次第に⾼度な専⾨科⽬を中⼼とした学修に移⾏する。
・特に4年次においては、1年次から3年次までに修得した基礎的能⼒を基に、⾃主性、創造性及びプレゼンテーション能⼒を⾝に付け、広い教養と深い専⾨的知識を諸課題に応⽤できるよう、卒業研究指導を実施する。
・三級海技⼠(航海)の資格取得を可能にするための学修を併せて実施する。

2.教育の内容、教育の実施⽅法及び評価⽅法に関する⽅針

(1)幅広い視野・⽂化的素養
 (学修内容)国際交流の基盤となる幅広い視野・能⼒と⽂化的素養を⾝に付けさせる。
 (学修⽅法)1年次、2年次を中⼼に、幅広い総合科⽬、専⾨導⼊科⽬を学修させる。また、⼤学教育にスムーズに⼊れるよう、初年次導⼊科⽬を学修させる。
 (学修成果の評価⽅法)科⽬の特性に応じて、試験、レポート及び成果物等により、幅広い知識・⽂化的素養の修得度を客観的に評価する。
(2)コミュニケーション能⼒
 (学修内容)技術者として必要となる幅広い教養と国際的視野に裏打されたコミュニケーション能⼒を⾝に付けさせる。
 (学修⽅法)多様な外国語科⽬、実験、実習、演習のレポート作成、卒業論⽂の作成、卒業論⽂発表を通じて、必要な情報を収集し発信することのできる多様なコミュニケーション能⼒を学修させる。
 (学修成果の評価⽅法)科⽬の特性に応じて、レポート、卒業論⽂発表会等により、コミュニケーション能⼒の修得度を客観的に評価する。
(3)専⾨的知識・問題解決能⼒
 (学修内容)船舶の運航管理及び保守管理、海事関連の機器・装置・システムの設計・開発、港湾・航路の設計・管理も含めた海事技術に関する専⾨的な知識を持ち、それらを活⽤して問題解決する能⼒を⾝に付けさせる。
 (学修⽅法)基礎から応⽤まで、専⾨導⼊科⽬、専⾨科⽬を体系的に履修し、幅広い専⾨知識を⼗分に学修させる。問題発⾒・解決⼒や創造⼒を育成できる、実験、実習、演習、卒業研究の科⽬を学修させる。
 (学修成果の評価⽅法)科⽬の特性に応じて、試験、レポート及び成果物等により、専⾨的知識・問題解決能⼒の修得度を客観的に評価する。
(4)実践的指導⼒・リーダーシップ
 (学修内容)社会のリーダーとして求められる実践的指導⼒、リーダーシップを⾝に付けさせる。
 (学修⽅法)集団の中で指導⼒、統率⼒を発揮できる能⼒、リーダーシップを育成できる、実験、実習、演習、卒業研究の科⽬を学修させる。
 (学修成果の評価⽅法)科⽬の特性に応じて、レポート、卒業論⽂発表会、卒業論⽂等により、実践的指導⼒・リーダーシップの修得度を客観的に評価する。
(5)⾃ら判断・⾏動できる能⼒
 (学修内容)課題に対して進んで取り組み、論理的に考え、的確な判断及び⾏動ができる能⼒を⾝に付けさせる。
 (学修⽅法)⾃ら判断し⾏動できる能⼒を育成できる、実験、実習、演習、卒業研究の科⽬を学修させる。
 (学修成果の評価⽅法)科⽬の特性に応じて、レポート、卒業論⽂等により、⾃ら判断・⾏動できる能⼒の修得度を客観的に評価する。

アドミッションポリシー(入学者受入れの方針)開く

1.入学者受入れ方針

海事システム工学科では、船舶運航技術および工学的技術に関心を持ち、専門的知識を含む幅広い教養、課題の発見・理解と解決に必要となる高度な技術、船舶運航に必須な多国籍の運航チームを形成できる国際性、協調性を卒業時までに修得することができる素養を有する人を求める。

2.求める素養・能力

【幅広い視野・文化的素養】

大学での学修を通じて文化的素養を身に付けるために必要な基礎的能力を有していること。また、入学後に総合科目・基礎教育科目の修得を通じ、幅広い視野を身に付け課題に取り組む意欲を有していること。

【コミュニケーション能力】

実験、実習、演習、卒業研究等への取組を通じて、幅広い情報収集や分析を行い、発信できるコミュニケーション能力を身に付ける意欲を有していること。

【専門的知識・問題解決能力】

基礎教育科目、専門科目の履修を通じて、幅広い専門的知識を修得し、それらを活用して課題を発見・理解し、解決することに強い関心があること。

【実践的指導力・リーダーシップ】

実験、実習、演習、卒業研究等への取組を通じて、グローバル社会のリーダーとして求められる実践的指導力を身に付ける意欲を有していること。

【自ら判断・行動できる能力】

自ら課題に対して、論理的に考え、判断し、行動する能力を身に付ける意欲を有していること。

3.入学者選抜の基本方針、評価方法

【入学者選抜の基本方針】

海事システム及び工学全般を理解できる基礎学力を有し、国際的な活躍のための能力を備えた工学分野に関心のある者を選抜する。

一般選抜(前期日程・後期日程)

大学入学共通テストでは幅広い分野の基礎的学力を評価する。個別試験では前期日程では数学と英語を、後期日程では理科(物理)と英語を課して評価する。

総合型選抜

課題学習能力試験では数学と英語の基礎学力を、模擬授業・課題論文では学科の学問領域への関心や論理力を、面接では海事システム工学分野を学ぶための意欲を評価する。

私費外国人留学生特別入試

日本留学試験では日本語と数学・理科を評価対象とし、個別学力検査では数学と英語を課すことにより、日本語力、数理的な素養、国際的な活躍のための能力を評価する。さらに、面接を実施し、思考力とコミュニケーション能力を評価する。