国立大学法人 東京海洋大学

海底鉱物資源は海洋開発のフロンティア。
大きなスケールで海を探求できる学科。

大日方 稜 さん海洋資源環境学部 海洋資源エネルギー学科4年(当時)

Q1.学科‧学部を選んだ理由は?
海底資源の探査・掘削など、スケールの大きい将来像
本学は海洋生物や水産に関する研究が有名だと思いますが、私はもともと工学に興味があり、造船などのスケールの大きな仕事に漠然とした憧れを持っていました。高校三年生のころに当時開設されて二年目の海洋資源エネルギー学科を知り、いろいろ調べてみたところ、実際の海洋開発の桁違いのスケールに驚きました。そこから海底鉱物や石油・天然ガスなどの海底資源の探査・掘削に興味を持ち同学科に進学しました。船を使った実習など、他の大学にはない海洋大ならではのカリキュラムがあったことも選択の理由です。

Q2.この学科‧学部に決めてよかった点は?
海に関わる基礎科学から応用技術の開発まで、幅広い知識を発展的に得られる
学部二年生までで物理学・化学・地学・生物学やその複合である海洋学を学び、学部三年からはより専門的な工学を学びます。カリキュラムを通して海の基礎から海底資源や洋上風力の開発に関わる応用技術まで幅広く学べることが海洋資源エネルギー学科の強みだと思います。特に洋上風力発電は本学に進学後に興味を持ちました。脱炭素社会を目指すために自然に負荷をかけずにいかに再生可能エネルギーを利用するか、そこが面白いところだと思います。また、乗船実習として約1ヶ月間船で日本を一周したのはとても楽しかったですね。実習なので交代制で海や進路を24時間監視するなど業務もありますが、その時見た海の青さや夜の星の美しさは忘れることができません。実際に海に触れることで海洋開発の現状や環境保護の意義をより身近に感じることができるのは本学ならではだと思います。

Q3.あなたの研究テーマは?
深海底から鉱物資源を引き揚げる
水深数1000mの深海底には、コバルトやマンガンといったレアメタルも含む海底鉱物資源の存在が確認されています。採掘した鉱石を海底から海上の船まで運ぶことを「揚鉱(ようこう)」といい、有望な方法として、鉱石を揚鉱管(深海と海上の間をループ状につなぐ長い円管)中を循環する泥水の流れに乗せて海上まで輸送する方法が考えられています。私は揚鉱に用いる泥水のもつ粘性の簡便な評価方法の開発を行っていて、適切な粘度測定によって揚鉱効率の高い泥水の配合を提案し、効率的な揚鉱の実現を目指しています。

休日の過ごし方

自然が好きな仲間たちと山登り。
一緒に山に登り、違う視点を発見。

長野県出身ということもあり登山やキャンプが趣味で、休日に友達と関東近辺の山を登りに行きます。海洋大には自然が好きな学生が多く、一緒に登山に行くと自分が知らない生き物や植物のことを教えてもらえるので、これまでと違った視点で登山を楽しめます。
写真は、11月の終わりに筑波山へ行ったときに撮りました。山の麓では終わりかけの紅葉、登山道の途中では奇岩群、山頂では冬晴れで澄み切った空と最高の景色が楽しめました!

Q4.理想の未来像は?
環境に配慮した持続可能な海洋開発を目指す
現在の日本の資源自給率は非常に低く、レアメタルなどの鉱物資源に関していえばほぼ100%輸入しています。まだ試験段階である海底鉱物資源の開発が商業化できたならば、採掘された海底鉱物資源が日本産の資源として市場に流通し、資源供給の安定化や製造業やエネルギー産業のさらなる振興に貢献するでしょう。海底鉱物資源は海洋開発のフロンティアであり、私は、将来はそれらにチャレンジする仕事に従事し、環境に配慮した持続可能な海洋開発を目指していきたいです。

東京海洋大学を目指す方へのメッセージ
海洋開発を含め、海への関心が低下しているというような話を聞きます。私は本学に入学するまで、海に対してさほど強い思い入れはありませんでしたが、実際に学び、海に赴くことで、その雄大さや厳しさ、美しさを知り魅了されました。関心が低下する原因は、海への関心を持つ機会が減っているためかもしれません。そういった面で東京海洋大学は、講義や実習を通して海への興味を掻き立てられる機会が豊富です。最近注目されている洋上風力発電や海底鉱物資源の開発など、スケールの大きな分野で海に関わりたい方は海洋資源エネルギー学科に入学することをお勧めします。